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4.6.2 NOx生成低減化技術開発

4.6.2.1 NOx生成低減化試験

NOx生成濃度と燃費の関係はトレードオフの関係にあり、通常NOx生成濃度の20%低減を図ると、燃費が3%増加します。

L31M機関において、1年間に亘るNOx生成低減化試験を施行し、燃費の増加を0%に抑制、NOx生成濃度25%低減に成功しました。

 

4.7 カムとカム軸チェーン駆動

燃料噴射ポンプの駆動トルクの増大によるカム軸のねじれを少くするため、カム軸径を太くしました。カム軸駆動系はクランク軸のねじり振動の影響をできるだけ低減できるよう出力側に配置し、チェーン駆動方式にしました。図-4にカム軸チェーン駆動を示します。

チェーン駆動方式は下記の特徴があります。

(1) ハイカムシャフト配置が容易であること

(2) カム軸のねじり振動はチェーンの弾性伸縮によるダンピング効果により低振動・低騒音化が図られ、歯車駆動のようなピッチングの恐れはなく、高い信頼性が得られること。

4サイクル機関のカム軸駆動系にチェーンを使用した実例はなく、その信頼性が問題視されるところです。チェーンサイズの選定にあたり、2サイクル機関での使用実績を重視し、駆動最大トルク及び変動トルクも実績内に抑えました。運転試験において、カム軸駆動系のトルク計測を施行しました。計測結果はほぼ計算値のとおりであり、カム軸のねじれ角も許容値内であることが確認されました。また全回転数域においてチェーン振動は全く認められず、緊張ボルトの応力も十分低い値でありました。

 

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図-4 カム軸チェーン駆動

 

4.8 過給機と空気冷却器

過給機は高効率・無冷却式のラジアル形を採用し、ケーシングの腐食防止と平軸受の採用による軸受寿命の向上を図っています。

空気冷却器は給気接続箱に挿入するインサート形にして開放掃除を容易にしています。

 

5. おわりに

以上、今回紹介したL30M・L31M機関は“地球環境にやさしい・人にやさしいエンジン”を開発コンセプトに、従来の設計に固執することなく、構造が複雑とならないよう随所に斬新な設計思想を採り入れました。

また、長期間試験運転・諸計測を行い、諸性能・信頼性・耐久性の確認を行いました。

ユーザの皆様には安心してお使いいただける機関であると確信いたします。

今後ともご満足いただける製品を供給すべく、就航実態の把握とともに、さらに研究を重ねていく所存です。

 

 

 

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