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油圧管制排気弁を図-3に示します。弁ばねは空気圧ばねを採用し、排気弁棒には回転羽根を設け、排気ガスの吹出しによって弁棒に回転力を与えるもので、シート面の耐久性の向上を図っています。

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吸・排気弁棒はともに耐熱鋼製でシート部にはステライトを盛金しています。弁座は吸・排気ともに特殊鋼製で、排気弁座シート部はステライトを盛金しています。

油圧管制方式には従来の弁腕方式に較べ下記のような特徴があります。

(1) 弁腕方式のようにタペットクリアランスを必要としないため、開弁時の衝撃音がなく、また閉弁時においても着座速度を十分低く設定することができ、着座音を低く抑えられ、静かで低騒音化が図られています。

(2) 弁腕給油のような開放給油箇所がなく、油の飛散またはオイルミストの雰囲気を一掃します。また、弁棒とガイドブッシュの隙間から燃焼ガスのブローバイが全く外部に漏れない構造となっているため、シリンダカバー上面は常にクリーンで乾燥状態を保持しています。

このため、船内の空気がオイルミストやブローバイガスで汚れることがなく、過給機のサイレンサ・ブロア羽根車・空気冷却器の汚れの洗浄掃除期間の延長に大きく寄与しています。

(3) 弁棒にはサイドフォースが作用しないので、弁棒およびガイドブッシュの偏磨耗がなく、保守期間延長に寄与しています。

 

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図-3 油圧管制排気弁

 

4.6 燃料噴射系とNOx生成低減化技術

 

4.6.1 燃料噴射ポンプと燃料噴射弁

燃料噴射ポンプは高噴射圧力及び低質油仕様に対応した高耐圧形を採用しています。吐出弁は等圧弁としてキャビテーションの発生を防止しています。

燃料噴射弁は運動部分の質量を極力小さくした応答性の良いミニマス形としています。

燃料噴射系の良否は機関性能を左右することのみならず、排気ガスの環境汚染・燃焼騒音にも影響するところです。燃料噴射系統はこれらを念頭に開発設計しました。

燃料噴射系統の適正化の対応として

(1) 高圧燃料噴射ポンプにより高圧噴射とし、噴射燃料の微細化と噴射到達距離の適正化を図りました。

(2) 燃料噴射弁は応答性の良いミニマス形のものを新規開発し、開分圧力を高く設定しました。

(3) ハイカムシャフト構造として、噴射高圧管を短縮し、噴射特性の改善を図りました。

燃料噴射弁の噴口径・数・噴射角度・開弁圧力の影響について、またスワール流・スキッシュ流の影響についても試験調査を行ないました。

その結果、全負荷域において全く煤煙のない良好な燃焼を達成しました。

 

 

 

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