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造船業労働力循環スキームの概要

目的:主に中小造船所の過剰な労働力を他事業者(中、大手)へ有期出向雇用調整助成金、労働移動雇用安定助成金等の各種助成措置の利用

対象事業者:

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現在、中小造船所は受注量も減っており、人材は過剰気味であるところから、人材のシフトについては積極的な意向を持っているところもある。

中小造船所から大手造船所に人材を一定期間出向または派遣する場合の問題点として、その人材が帰還した時の配属先が確保されているかという当事者の不安が考えられる。従って、人材のシフトをおこなう前に何らかの形でこのような不安を与えないような企業側の考慮が必要であろう。

大手造船所の手持ち工事量はVLCCの代替期ということもあり、ここ数年間は確保さている。しかし、韓国との受注コスト競争などで大手造船所もコストダウンは重要な施策の一つで、自動化や省力化を推進し人材の縮小を図っているところであり、また、通常多くの協力企業を持ち、教育された技能職を持っているため、過度な高操業に対応する場合を除き、他の造船所からの人材の受け入れはあまり積極的には行われていないのが実状である。

しかし、業界の雇用確保や技術力の向上のために、中小企業間のブロックの融通を含め、大手造船所からのブロックの受注が可能なシステムや一時的な余剰人員の他工場への派遣システムの促進が望まれるところである。

また、多くの中小造船所は、大手造船所からのブロック製作需要があっても、要求されるブロックの大きさと、できる大きさに差がある。従ってブロックの受注をする場合は、受け皿としての中小造船所の設備の整備が必要である。

操業調整や狭い定盤、ブロック置き場の不足などをリカバーするためにも、中小造船所間のブロックの相互融通はもっと拡大すべきであろう。そのためには図面や生産情報の標準化が必要となる。

 

 

 

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