3.3.6 共同化
(1) 技術の共同開発
中小造船業の大半がオーナー社長であり、永年、自己完結型の経営形態で過去の不況を凌いできたこと、同業他社は競争相手でしかないという姿勢、建造の考え方、やり方が異なること、設備一つとっても規模や能力が異なるなどもあり、技術・設備・人材などを共有し相互利用するという観点での共同化という発想についてはやや消極的である。
異なる船種に特化している造船所同士、設備規模、技術力など企業格差があり相互の利害関係が比較的薄い地域では前向きな姿勢で取り組んでいる所もある。
アンケート調査によれば、過去3年間に27%の企業が共同事業を行っていると回答しており、取り組んでいる内容は、仕事の融通、設備や労働力の融通、共同受注などである。どちらかと言えば中小企業の場合は各社とも技術開発の方にはあまり目は向いていないようである。
中小造船所の一社一社が対応できる技術力や資金力では限界があり、受注することが最優先であることを考えれば、企業連携による相乗効果でメリットを生み出していくことは有効な手段と思われる。
(2) 人材の共有化
人材の有効活用および雇用の確保を目的として運輸省では平成10年8月「造船業労働力循環スキーム」の実施を行うことになった。