(6) 金融の規制緩和による影響
概して、金融の規制緩和に関連した貸し渋りで困っているという意見は、造船所からは聞こえてこない。むしろ船社側にある問題と思われると言う声が多かった。造船所によっては、契約に際し、担保保証の問題などで資金繰りに困っている所もあるなど、その影響はさまざまである。銀行自体の経営状況も厳しくなっており、収益性のない企業への融資が抑制されてきている。従って収益を我慢して赤字でも受注するというようなことはできなくなってくるであろう。
今回の金融関連の規制緩和による問題は、船舶建造需要の減少、受注競争の激化を招き、しいては、船価の下落、運転資金の逼迫の要因となっていることは否めず、業界だけの努力ではもはや解決できない状況にあるものと思われる。
(7) 海外造船所との競合
内航船主体の中小型船建造の造船所では、輸出船の建造を行っている所はごく一部であり、海外造船所との競合という問題はない。
(8) アンケート調査にみる3〜5年後の状況予測と対策
半数以上の造船所が、九州地区における建造シェアは低下し、68%が3〜5年後の受注量は減少すると回答している。したがって、造船所間の競合はさらに激化、または、やや激化すると予測している。