提出する試験成績には、当該試験方法に従って行った自社の試験成績だけではなく、別に、他の企業等に委託して行った試験成績をも併せて提出することとされており、第三者による試験結果を提出させることによって、当該試験成績の信頼性が担保されている(申請者等が行う試験には、環境保護庁の職員による立会いは行われない。)このように、製品の評価は、環境保護庁が試験を行うのではなく、申請者から提出された試験結果によってなされている。
この制度により、現在、次の4種類の分散剤が承認されている。(以前は、試験法が統一されておらず、70種類くらいのものが承認されていたが、試験法が統一されてからは、4種類となっている。)
Corexit 9500(Exxon社)
Corexit 9527(同上)
NEOS AB3000(株式会社ネオス)
MERU CLEAN 200(タイホー工業株式会社)
2] カナダ
カナダにおける分散剤の使用については、米国と同様に、国家緊急時計画のリストに記載されることが必要であるが、それに加え、実際に使用する際にも、使用することについての許可を得ることが必要とされている。これらの事務は、カナダ連邦環境省によって執られており、申請された製品の評価は、申請者が試験成績を提出するのではなく、連邦環境省が、その製品についての試験を行って、その試験結果により評価がなされている。
この制度により、現在、次の2種類の分散剤が承認されている。
Corexit 9500(Exxon社)
Corexit 9527(同上)
2) 性能試験法
油処理剤の性能試験基準については、舶査第52号に定められており、試験油、振とう機、試験方法等が規定されている。米国とカナダで用いられている分散剤の性能試験法について調査したところ、いずれも、カナダで考案された「渦巻きフラスコ法」が採用されており、試験油には、米国では、Prudhoe Bay Crude OilとSouth Louisiana Crude Oilが、また、カナダでは、標準油として、Alberta Sweet Light Mixed Crude Oilが用いられており、さらに、カナダでは、必要に応じて種々の油が用いられるとのことであった。また、Corexit 9500等で世界的に有名な米国のExxon社では、独自の試験法である EXDET法が用いられており、これらの状況は、日本の関係者の認識となんら変わらないものであった。
なお、渦巻きフラスコ法及びEXDET法とも、自己かく拌型の分散剤を対象とした試験法である。