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表2-2-11 各試験法の乳化層の採取量

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10) 油分抽出試薬

油分抽出試薬については、舶査第52号による試験法では四塩化炭素が用いられており、海外の他の試験法では、クロロホルムや塩化メチレンが用いられている。

四塩化炭素は、既に製造が禁止されており、今後継続して使用できる見込みがないことから、MDPC法では、他の油分抽出試薬を選定する必要がある。調査の結果では、クロロホルムも塩化メチレンも、油分の抽出のための吸光度の特性に大きな違いはなく、試薬自体の有害性に着目して塩化メチレンを採用することとした。

油分抽出試薬 塩化メチレン

 

11) 試験温度

試験温度は、ラボファイナ法では10±1℃であり、他の試験法では20±1℃である。試験温度について問題となる点は、油の粘度やエマルジョン粒子の浮上速度などであり、温度が低いと分散率が低下する結果となる。

MDPC法では、現在、試験油を3,000cStのC重油としており、この粘度を維持するために必要な温度は、これまでの調査に用いたものでは約22℃である。このため、試験油の粘度を維持すること等をも考慮して、試験温度を20±1℃とした。ただし、試験油の性状によって、当該温度によったのではその粘度を3,000cStに保つのが困難である場合は、当該粘度を3,000cStに保つために必要な温度とする。

試験温度 20±1℃

 

12) 粒径調査

分散性能試験において、かく拌後に静置した容器の中では、クリーミング、凝集、合一といった現象が起こっている。これは、分散剤の性能の善し悪しによって油分の粒径に大小が生じるためであり、調査の結果では、粒径が30μm以下であれば、粒子の浮上速度が遅く、水中での粒子の凝集や合一の少ない安定したエマルジョンが得られることが判明している。しかし、粒径の大小のみで分散性能の良否を判定するには無理があり、計測した分散率と粒径分布又は各粒径での油分の重量分布とから分散性能を決める必要がある。

 

 

 

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