・ 界面張力により海水面が現れる。(容器内で油が一方向に偏る。)
・ 油処理剤が海水中に乳化・分散する。
・ 対油処理剤の添加量にバラツキが生じる。
・ 試験の再現性が悪い。(繰り返し回数が増加する。)
比較的粘度の高いC重油を用いる今回の試験では、油面に油処理剤を滴下するのが困難であり、再現性の高い結果を得ることの必要性からは、予め混合によるのが好ましいと考えられる。各国の試験法においても、この理由により予め混合による方法が多く採用されており、MDPC法においてもこの方法を採用することとする。
油処理剤の添加方法 予め混合
6) 振とう方法
振とう方法については、かく拌方法やかく拌時間によって与えるエネルギーの差が大きくなる。
Dr. Fingas等は、かく拌エネルギーの大きさが分散率の値を大きく左右するという従来の考え方に対し、4種類の試験方法によって調査を行って、その結果から、かく拌力はこれまで考えられていたほど重要ではないとの結論を得ている。本調査研究では、大きさの異なる3種類の容器(270ml、500ml及び1,100ml)を用いて、波傾斜(風力階級3以下)と波面の挙動を中心に調査を実施した。この結果では、容器の長さが長いほど波の周期が長くなり、また、波面の挙動と波傾斜が穏やかで、往復運動中の波形が一定となることが確認され、自己かく拌のエネルギーとして適切であると判断された。この調査結果から、振幅及び振とう回数を次のとおりとした。
振幅 40mm
振とう回数 35往復/分
7) 振とう時間
かく拌時間は、表2-2-10に示すように各試験法によって異なっており、2分〜40分の範囲で開きがある。これは、試験豊富によって採られているかく拌エネルギーの大きさの違いや、試験を行う分散剤が人為的かく拌型のものであるか自己かく拌型のものであるかといった違いを考慮したものと考えられる。