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Dr. Fingas等の研究によれば、油と海水の比が1:200以下では分散率が下降し、1:20で特に大きく減少することが確認されている。最大値は約1:500の点で認められ、1:1,000〜1:3,000は比較的安定した結果が得られている。この変化は、油処理剤の作用メカニズムが異なることを示していると考えられ、油と海水の比が低い場合には、相対的に大量の界面活性剤が存在することとなって、界面活性剤同士が相互に作用し、油に作用せずにミセル構造をとることとなる。逆に油水比が高い場合には、油と界面活性剤の相互作用によって分散した油の粒子が形成されることとなり、また、油と海水の比が1:500の近くでは、これら2つのメカニズムが共に働くことが確認されている。この研究結果と調査の結果から、油と海水の比を1:550とした。

油:海水比 1:550

 

4) 油と分散剤の比

油と油処理剤の比は、表2-2-9に示すとおり各試験法によって異なっており、各試験法のかく拌エネルギーとの関係によって決めたものと思われる。分散剤の量が多ければ分散率が高い結果となるが、航空機散布用油処理剤の散布量は、極力少量で効果のあることが要求されることから、海外での分散剤の散布量を参考として、散布量を4%とした。

油:油処理剤=10:0.4(25:1)

 

表2-2-9 各試験法の油:油処理剤比

085-1.gif

 

5) 分散剤の添加方法

これまでの試験結果によると、別々添加によった場合の分散率は、一様に低い値を示している。実験室実験では、少量の油面に油処理剤を均一に滴下するのが困難であることから、次のような問題が生じることとなり、予め混合による方が再現性の高い結果が得られることになる。

 

 

 

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