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1) 容器の種類及び容積

容器は、試験法によって密閉型の分液ロートと開放型のビーカーとがあり、その容積は、145ml〜270ml(ビーカーであるものを除く。)の範囲で開きがある。

大型の試験装置は、試験の複雑度が高く、試験に時間を要することや試験の再現性に問題がある。実験室実験で再現性の高い試験法としては、舶査第52号による試験法や、ラボファイナ法、EXDET法等が上げられるが、これらの試験法では、密閉型の分液ロートが使用されており、その容積は300ml以下と小型である。容器の長さは、長さが長いほど穏やかな波面が得られることとなり、形状では、密閉型のものの方が乳化層を採取するうえで取扱いが容易である。また、容器の容積については、油と海水の比や乳化層の採取量にも関連するが、容器容積が大きいほど乳化率が安定している。

調査の結果から、容器の形状と容積を次のとおりとした。

形状 円筒型分液ロート(密閉型)

容積 1,100ml

 

2) 海水量

海水量は、かく拌時の海水の運動量(かく拌エネルギー)に影響することとなり、この量は表2-2-8に示すように試験法によって異なっている。試験法によっては容器の容積とほぼ同量に近い海水量のものや、半分の量に満たない量のものなどがあって、その量は50ml〜250mlの範囲で開きがある。

 

表2-2-8 各試験法の海水量

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安定性の高い性能値を求めるには、ある程度海水量が多いことが望ましく、また、調査の結果から、空間容積が大きいほど挙動の大きい滑らかな波面が得られているので、結論としては、容器容積の50%程度の海水量が適当であると考えられる。

このことから、海水量は550mlとした。

海水量 550ml

 

3) 油と海水の比

油と海水の比は、試験法によって2:50〜2:250の範囲で開きがある。油は、分散剤によってエマルジョン粒子となり、静置後は、クリーミング(浮上現象)、凝集、合一といった過程をたどる。また、粒子の径によっては、浮上速度が異なっている。海水中でこういった現象が現れることを考慮すると、海水量の多寡は、分散率の値に影響するものと考えられ、海水量が多い場合は、エマルジョン粒子間の距離が長く、また、海水の深さが深いほど浮遊時間が長くなって分散率が高い結果を示すこととなる。

 

 

 

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