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平均値から15%以上のバラツキのある測定値が得られた要因として次のことが考えられる。

○ マット型−マット型で唯一条件を満たさなかった供試体2は、材質が天然素材であり、厚みが不均一であった。

○ ルース型−ルース型のほとんどは天然素材であり、その形状は粒状、粉末状及びフレーク状等と異なっており、素材1個の大きさが不均一であった。

○ ピロー型−ピロー型で唯一条件を満たさなかった供試体14は、吸着材本体の充填密度を均一にすることが困難であった。

○ ブーム型−ブーム型4種の内3種が条件を満たさなかった。吸着材本体の充填密度を均一にすることが困難であるとともに、吸油量の絶対量が少なかった。

このように、測定値のバラツキはルース型では供試体個々の大きさ及びピロー型、ブーム型では充填密度の不均一に因るものであることが判明した。また、吸水試験においては測定回数が1回のため、測定値が正常値か異常値かの判定が困難なケースも認められた。

油吸着材の吸油性能や吸水性能に関する試験については、油吸着材の素材の形状及び供試体の作成方法に基づく測定値のバラツキはある程度やむを得ないものと考えられる。このバラツキの許容範囲について、今後の課題として検討すべきものであるが、当面の間は本調査で参考として用いた米国材料試験協会の油吸着材の吸油性能試験方法(ドラフト版)に定める測定値の判定基準を採用することが望ましいと考えられ、各試験要領に加えることとする。

本年度実施した油吸着材の性能調査では、測定値と平均値に4割程の差を生じたケースも認められたが、本年度実施した試験方法で各油吸着材の吸油性能及び吸水性能をある程度評価することが可能であることの確信が得られた。

 

(2) 吸油性能等の評価

今年度実施した調査結果から、各タイプ毎の高粘度油に対する吸油性能について、次のとおりまとめた。

○ マット型は比較的粘度が高くても、油に接触した部分に油が付着することから油吸着材として有効である。

○ ルース型は一部に自重の100倍を越える吸油量を示すものもあるが、これは油吸着材の比重が極めて軽いためであり、容積当たりの吸油量で比較した場合、他の供試体と大差はなかった。

○ ピロー型は時間の経過とともに吸油量が増していくが、粘度が高くなるに従い、外包材による障害が大きくなり吸油量が少なくなる。また、一部供試体に吸油とともに沈降するものも認められたことから、使用に際しては回収及び流失防止の工夫が必要である。

 

 

 

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