2) 供試体2
1] 水面の状況(図1-1-12〜図1-1-14)
イ 平水中での試験では、浮力調整バルブは良好に作動する。
ロ 波浪中での試験では、スキマーヘッドが波頂に位置した時、油水が浮力調整バルブを越え貯槽に入るが、波底に位置した時には一旦貯槽に入った油水が逆に同バルブを越えてしまい、その影響でスキマーヘッドの前面に開水面を生じ、油が常時回収口付近にある状態とはならない。その状況を写真1-1-6〜写真1-1-7に示す。
ハ スキマーヘッドの操作は排水管を兼ねた操作管で行うが、波浪中ではスキマーヘッドの動きを波浪に追従させることが困難であり、回収口が水面から離れたりする状況も観察された。
ニ ロ及びハの状態から時間当たりの回収能力や時間当たりの回収油水量は、波浪中の方が減少するが、油回収効率は一旦貯槽に入った油水が、浮力調整バルブを越える時に水と試験油の粘度が異なるため、水の方が早く越えてしまうことから油が残り波浪中の方が効率の良い結果となった。この傾向は粘度の高い試験油ほど顕著である。
2] 油種(粘度)(図1-1-15〜図1-1-17)
イ 試験油1及び試験油2では、浮力調整バルブが良好に作動し特に問題が無く試験油を回収できたが、試験油3の試験においては、油の粘度が高いため浮力調整バルブがスキマーヘッド本体に固着し、堰の役目をしていない時もあった。その状況を写真1-1-8に示す。
ロ 粘度の変化による油回収効率は、平水及び波浪中とも粘度が高くなるほど効率が高い結果となった。