静止画像fileとして一般的なjpegフォーマットの情報量は、基本情報(画質、サイズなどの情報)1Kbyteと25ピクセル*40ピクセルごとに1Kbyteの大きさとなる。
緒論からいえば、現在のインフラ上でのストリーミング伝送は不可能である。また、インターネット等の接続は不可能ではないが、回線のコスト、安定性を考慮すると実用的ではない。現時点では、短時間でまとめた情報を受け渡すシステムとすべきである。一例ではメールシステムがあげられる。
船内の情報は船内のサーバーに蓄積し、陸上の情報は陸上のサーバーに蓄積し、船が最寄の港に着岸した時点で、MO(光磁気ディスク)、DVDなどの大容量のリムーバルメディアを利用して、情報を交換する方法が考えられる。ただし、この方法では大量のデータの交換は可能であるが、オフラインとなり、必要な情報を即時に得ることはできない。
これを補完する方法として、メールが利用可能である。メールのある特定のアドレスをシステム自動運転用に取得し、このメールボックスには定型のメッセージのみを送信するようにして、一定時間毎にシステムに自動的に読み出させて、メッセージに従った処理が実行されるようにするのである。
例えば、船側にVSLSYSTEMというアドレス(メールボックス)を用意して、このメールボックスを一定時間毎(例えば2分毎)に自動的にスキャンする。メールがあればそれを自動的に読み出し、定型メッセージを解読し、メッセージに従ったアプリケーションを起動して処理をさせ、結果をメールにして送信者に返信させるのである。現在のエンジン温度を返せというメッセージを受け取れば、サーバーから必要なデータを読みだし、レポートにして返信するといった具合である。ある程度の情報であればファイルをそのまま転送することも可能である。自動的に送受信されるデータ量にはあらかじめ制限を設けておき、誤った要求で回線がパンクしないような配慮が必要である。
完全にリアルタイムとは言えないが、必要な情報を船員の手を必要とすることなく陸上において取得することができる。メッセージの緊急度の設定などを上手に利用すれば、緊急時には数分後に、特に緊急でない情報に関しては数時間後にまとめて送受信すようにして、回線コストを抑えることもできる。
このシステムの応用例として、自動アラートシステムが考えられる。船内のある計器の数値が許容量を超えた場合(例えばエンジン温度)に船内にアラームを鳴らすと同時に、過去数分間の推移レポートとして作成し、陸上に自動送信し、陸上のアプリケーションもこのメールを受信したらアラートを鳴らす。回線の状況にもよるが、船内で異常を検知後、数分程度の遅れで陸上でも異常を知ることができるのである。
仕組みの基本的な考え方はEDIと同じである。テキストファイルにタグをつけてメッセージに意味付けをすれば、さまざまな利用方法が考えられる。