4.3.4 船舶交通安全通報
(1) 船舶交通安全通報の沿革
現在海上保安庁から提供されている船舶交通安全通報は、大別すると印刷物と無線電信に分けられる。
印刷物での提供は、明治12年の「水路報告」に始まり幾多の変遷を経て、昭和36年「水路通報」となり現在に至っている。一方、地方においては昭和26年頃から「○管航行警報」にはじまり、昭和61年「○管区水路通報」となり現在に至っている。本庁及び管区共に水路通報は冊子として週1回発行している。
無線電信での提供は、大正13年に海軍部内用として「無線電信水路告示」に始まり、同15年から一般向けとなり、その後幾多の変遷を経て昭和55年「日本航行警報」となり現在に至っている。また、管区別の提供は昭和25年から開始され、昭和61年「○管区航行警報」となり現在に至っている。日本航行警報は日本語によるモールス無線電信で定時(特に緊急を要するものについては随時)に情報を提供していたが、平成11年2月1日からGMDSS制度が完全に施行されたことにより、モールス無線電信は中止となり現在はインターネットにより提供している。
(注) 平成11年2月1日以降GMDSSに完全移行されたことにより、中短波無線電話による海上安全情報の取扱も中止された。
また、昭和55年より、国際水路機関(IHO)の提唱で国際海事機関(IMO)の決議による世界航行警報システム(NAVAREA航行警報)が始まり、我が国は11区域(北太平洋西部及び東南アジア海域)を担当し、定時(特に緊急を要するものについては随時)にインマルサットEGCシステムにより情報を提供している。
〔インマルサットEGC受信機が、自動的に受信してプリントアウト〕
平成4年には「海上における遭難及び安全に関する世界的な制度」(GMDSS)に基づき、日本沿岸域を航行する船舶の安全のために、緊急に通報を必要とする情報を「NAVTEX航行警報(英語)」として、定時(特に緊急を要するものについては随時)に提供している。
なお、日本語による「NAVTEX航行警報」は平成7年から提供している。
〔ナブテックス受信機が、自動的に受信してプリントアウト〕
(2) インターネットによる提供
パソコン及び通信技術の飛躍的な発展に伴い、海上安全情報の利用者である船舶運航者・海事関係者等からのインターネットによる情報提供の要望が多くなってきた。
そこで、水路部水路通報課では平成9年7月より「水路通報及び日本航行警報」のインターネットによる提供の準備を行い、同9月12日よりインターネット提供を開始した。
その後、管区本部水路部においてもインターネット提供の整備が順次進められ、本庁の水路通報及び各管区水路通報とリンクさせて、どこからでも検索できるように設定し、平成10年4月1日からは「水路通報及び各管区水路通報」及び「日本航行警報」として本格的に提供を開始した。