が必要になる。状態データの記録は、船内データベースと組織内データベースに蓄積される。正常異常の判断は綜合判断であり、判断ルールの整備および判断基準の明確化が重要である。状態の予測とは、このまま推移すると異常状態に陥る可能性を判断するものである。データをもとにした状態の監視には、データマイニング(data mining)的なアプローチの導入が必要になる。
運航状態把握機能は、運航状態の監視結果や収集情報をもとに実際の運航状況を正当に把握する機能である。状態把握には状況の認識や状況の理解が必要となる。
運航状態再現機能は、状態の把握結果をもとに陸上で船舶の状況を再現する機能である。運航状態の再現の目的は、陸上の運航者による支援業務を円滑に行うための、情報の共有にある。情報を多くの人と共有することにより、高度で多角的な運航支援が可能となる。再現の質が状況認識や状況理解の結果と関連する。再現には、シミュレーション技術を用いる。シミュレーション結果は、数値による再現だけでなくコンピュータグラフィックスやVRを用いることになる。
3] データベース機能
データベース機能は、船舶情報システムのデータベース機能と同様である。
4] ユーザインタフェース機能
ユーザインタフェース機能は、船舶情報システムのデータベース機能と同様である。
5] 通信機能
通信機能は、次の三つのサブ機能から構成される。
・ 組織内通信機能
・ 運航情報送受信機能
・ 暗号処理機能
組織内通信機能は、通信サーバーによる組織内LANを利用した電子メールサービスやエクストラネット経由による、組織外データベースへのアクセスを管理する。組織内通信機能は、イントラネットに相当する機能を持ったものである。
運航情報送受信機能は、陸船間の情報伝達の手段として衛星通信を利用するための機能である。通信は、各船舶からの運航状態データの受信と陸上からの運航支援に関する情報の送信を行う。
暗号処理機能は、平文の暗号化および暗号文の復号化を行う機能である。
(2) 陸上情報システム構築の要素技術
陸上情報システムの構築に必要または導入を検討しなければならない、情報処理技術をシステム機能別に整理したものを、表4-2に示す。表中の○印が必要となる要素技術である。