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レベル-1とレベル-2で情報システムの機能的な構造は変化しないが、データベースの容量と設置場所が異なる。レベル-1では、船内に比較的大きなデータベースを設置し、そのデータベースと同じ内容のデータベースを陸上にも設置しておく必要がある。特に、静的なデータを陸上と船舶で重複して持つことになり、効率的でない。レベル-2では、船内のデータベースは一時記憶的機能に特化したものとなり、必要な静的なデータはすべて通信システムを通して得ることとなる。この場合、動的なデータに対する陸上と船舶での整合性をどのように保つかが重要な問題となる。

図4-1は通信の利便性と必要となるデータベースの容量の関係を概念的に示したものである。通信利便性の指標として、通信容量、通信速度および通信の信頼性が考えられる。通信の信頼性とは、接続性や通信ノイズなどの通信障害の発生と関連したものである。この三つの指標は、陸船間通信の評価項目となるものである。図中の実線は船内と陸上のデータベースを示す。一点鎖線は船内と陸上を含めた全データベース容量で、通信利便性の向上に伴うデータベース容量の増加を示す。細線は、十分な通信利便性を確保できない場合の対策として船内データベースの内容を重複して陸上で持つ場合の陸上データベースを示したもので、重複割合をパラメータにして示している。例えば、25%の線は、船内データベースの25%の内容について陸上で重複して持つ場合に相当する。100%の細線は、完全に同じ内容を船内と陸上のデータベースで持つ場合で、0%に相当する陸上データベースの実線は、重複をさせない場合(レベル-2)に相当する。

通信利便性が低い場合、船内に蓄積していなければならないデータベース容量は多い。利便性が高くなるにつれて、船内のデータベース容量は減少するが、船内データベースと同じ内容のデータをある程度は陸上にも蓄積しておく必要がある。船舶の運航に必要な情報は、現状ではある程度制限されているが、通信利便性の向上に伴い増加するであろう。この傾向は携帯電話の急激な普及やインターネット利用者の増加傾向から推測される。このため、運航に利用する陸上のデータベースは、一点鎖線で示すように関連する全データベース容量は利便性の向上に伴い急激に増加するものと思われる。通信利便性が極めて高い状態において、船内のデータベースを設置しなければならないのかについては、船舶の運航者数や資質の問題と関連して、難しい問題である。

 

 

 

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