[造船課題10]] 人材の確保・育成
中国地区の中小造船業の技術者・技能工の技術レベルは、全国で高く評価されているところであるが、一方でいずれの造船所においても、人材の確保・育成が大きな経営課題となっている。中でも、大型船の建造の好調によって比較的仕事量のある地域では、全国で失業問題・雇用問題が社会問題化する中で、造船業における3Kのイメージやある程度の技術を持った有用な人材の少なさなどが壁となって有用な人材をなかなか確保できず、慢性的な人手不足に陥っているなどのミスマッチも生じている。一方で、造船業において先の見えない状況が続いていることから、若い人材の採用に踏み切れない造船所も少なくない。
また、造船業における従業員の高齢化は、他の製造業に比べて著しく進展しており、特に中小造船業では若い人材の確保・定着がなかなか進まず、将来に向けた世代間の技術伝承、人材育成が危ぶまれる状況にあるなど、人材の確保・育成は複雑な問題を抱えている。
こうした状況の中で、中国地区において今後とも造船業の集積を維持していくためには、個々の事業者の取り組みに加えて、地域の事業者が協力・連携し、造船関連の人材の確保・育成に努めることが必要である。