意見書「今後の造船業及び舶用工業のあり方について」(平成8年7月)の概要
1. 魅力ある造船業へ向けた産業基盤の整備
(1) 次世代造船業の構築
1] 自動化・情報技術の導入促進
経営全体として高度の生産性を達成できる技術力と経営体制の確立
・ CIMの着実な実現、自動化設備投資の促進等による生産の高度化の推進
・ CALS等情報技術の一層の活用による経営の合理化、効率化の推進等
2] 生産体制の適正化
生産の集中化、船種・船型の専門化等を進めることによる生産体制の適正化
3] 事業提携の推進
経営資源の有効活用等を図るための事業提携等による集約化の促進、その際には、情報技術を活用したバーチャル・コーポレーション等の可能性にも十分配慮
(2) 研究基盤の強化
創造的技術ポテンシャルの向上のため、研究資源の集約等による研究基盤の強化
(3) 需要の創出
在来の船舶需要とは異なる新たな需要の創出についての積極的な取り組み
(4) 中小造船業の高度化
最新の造船技術の中小分野への展開等技術ポテンシャルの向上や地域の特性をいかした経営の合理化等
2. 国際協調の推進
・ 造船市場における需給の安定化に向けての新造船需給に対する各国共通認識の醸成等
・ 造船協定による造船市場における公正な競争条件の確立
3. 造船業と舶用工業との協力関係の強化
舶用機器の標準化及び研究開発、舶用工業の高度情報化及び国際化等を推進することによる造船業と舶用工業との協力関係の強化
4. 我が国舶用工業の活性化に向けた対策
(1) 生産基盤の整備
1] 個々の企業の事業活動の活性化
新生産方式の導入及び需要の開拓等の事業革新並びに経営改革の推進
2] 舶用機器の標準化及び企業間協力による生産体制の効率化
舶用機器の標準化、資機材の共同購入等の促進による生産効率の向上
(2) 高度情報化の推進
設計・生産・調達・保守等企業・産業活動全体の高度化・効率化を図るための業務の高度情報化、そのための業務・取引形態の合理化・最適化
(3) 研究開発の活性化
舶用工業全般の技術力の強化、特に中堅・中小企業の研究開発の活性化
(4) 国際化への対応
総合的な国際競争力強化の観点から、国際的な工程間分業等を進めることについての検討
5. 国の果たす役割
・ 国際競争力の向上と産業の活性化の促進を図るために、造船市場の動向や中小企業に与える影響に配慮しつつ、造船設備規制等の見直し
・ 情報化・自動化の促進等に係る所要の環境整備
・ 中核的研究拠点構想、国立研究機関等の活用の推進
・ 高度船舶技術等の研究開発や研究開発成果の実用化等についての支援
・ OECDや二国間協議等の場を通じ、造船市場の安定、造船協定の適切な運用の確保等