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2. 物流環境の変化

 

(1) 物流体系の変革

1] 貨物輸送量の今後の動向

貨物輸送量の今後の動向は、(財)運輸経済研究センターによれば、重量のある貨物のうち、石油・石炭等のエネルギー資源の輸入量は底堅く推移するものの、鉄鋼等の海外輸出量は減っていくものと考えられる。

また、自動車、家電製品、機械機器等の加工組立型産業も、低付加価値部門は海外に生産拠点を移し、国内製造業は高付加価値部門にシフトする結果、製品はより小型化していくと考えられる。加えて、製品の小口化、消費財輸入の増大等に伴う流通システム効率化に向けた再編がさらに進むことによって、トラックによる輸送頻度は今後とも増加すると考えられる。

ただし、環境問題や労働力不足問題を考慮すれば、輸送モードの見直し(モーダルシフトの進展)が必要となってくることから、幹線輸送については、鉄道、内航海運の役割も高まってくるものと思われる。

これらの状況を加味した結果、貨物総輸送量は基本的には増加せず、逆に軽量・小型化した製品の増加により減少する可能性がある。その場合でも、輸送サービスが多様化していくことによってトンキロベースではほぼ横ばいで推移すると考えられる。

 

貨物輸送量の今後の動向

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(注)

「ロット貨物」:同じ商品を積んで運ぶ大口貨物

「バラ貨物」:異なった商品(同一メーカーのものを含む)を一緒に運ぶ比較的小口な貨物。

(資料)(財)運輸経済研究センター「経済社会の変化と運輸部門の課題に関する調査報告書」平成10年3月

 

2] 物流における新たな動き

貨物輸送は量的拡大への対応から、輸送の頻度向上、リードタイムの短期化、納期の正確さ、輸送単位の小口化などの質的向上を追求してきており、今後も国際複合一貫輸送にリンクした国内輸送システムの構築、内航部門と陸上部門との接続の円滑化による、さらなる質的向上が求められている。

 

 

 

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