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(2) 中国地区の動向

中国地区では、全国よりも製造業のウェイトが高く、近年に至るまで産業規模の拡大に最も大きな貢献をしてきた。これらの中心となってきたのが自動車、鉄鋼、化学などの産業であり、中国地区では特にこれらの特定業種への依然度が高いといった特徴が見られる。さらに中国地区では、それらの業種の中でも川上部門に近い素材系製造業のウェイトが高く、製品の汎用性が高い一方で、それだけ他の産業での生産活動の影響を受けやすいといった特性を有している。

近年全国的に海外生産が進展しており、今後もこうした動きはますます進展することが予想されるが、中国地区内の鉄鋼、化学などの大規模工場については、製品の輸送コストや設備投資などの面から、内需型・消費地立地型産業として国内に残る可能性が高いと思われる。しかし、海外進出のメリットの大きな加工組立型製造業の海外展開が進み、これらの産業からの需要が減少すれば、こうした影響は免れ得ず、景気低迷に伴う生産コストの削減やリストラなどの合理化の影響も少なくないものと思われる。

一方、中国地区においても、これまで後発的であった電気機械の工場立地が進み、山陰や岡山・広島の県央部などで電気機械のウェイトの高まりが見られるなど、徐々に産業構造の変化の兆しが見られてきており、これらの構造変化が中国地区の物流体系に与える影響も今後注視していく必要がある。

 

中国5県の製造品出荷額等の推移

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(注)1950年〜1980年は全事業所、1981年〜1995年は4人以上の事業所。

(資料)通商産業省「工業統計表」

 

 

 

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