3] 多品種・小ロット生産
舶用機器は、同じ製品であっても、供給する船舶の船型、船種によって仕様が異なることが多く、陸用との併用も困難なため、基本的に多品種・小ロット生産である。従って、全国的なシェアを持つ規模の大きな企業以外では、製造工程の自動化が困難な状況にあり、高コスト構造の要因ともなっている。
4] 困難な製品の標準化
これまで造船各社は顧客である船主のニーズを背景に、様々なスペックを付加することで性能・価格の優劣を競ってきた。従って、造船各社間の部品仕様や設計ノウハウの相違も大きく、船舶仕様の標準化や舶用機器の標準化を妨げている。
舶用機器の標準化は、業界団体を中心に製品分野ごとに取り組みが行われており、製品によっては一定の成果を挙げているが、上記のような阻害要因に加え、造船所や他の舶用工業事業者との連携が不十分であったり、事業者によっては標準化そのものの必要性があまり感じられていないなど問題点も多く、全体として十分な水準にいたっていない。
5] 進展する事業多角化
市場の成熟化に伴い、舶用工業では異分野への事業創出が大きな経営課題となっており、造船需要の変動に柔軟に対応するためにも、多くの舶用工業事業者が事業の多角化に取り組んでいる。その結果、事業者の8割強が陸用機械の製造を兼業するなど、事業多角化が進展してきている。