日本財団 図書館


予想する事業所は全くなく、特に、新造船部門については、「減少傾向」と予想する事業所が8割前後を占めるなど、船舶建造の見通しが立たない状況を示している。

 調整時期の終わった、Bの中長期的な経営見通しについては、全般的にやや持ち直すと予想している傾向が見られるものの、事業所全体の売上高、経常利益が「増加傾向」「やや増加傾向」と予想する事業所の割合は、2割前後に限られている。

 

A. 船腹調整制度廃止の調整時期(今後およそ5年間)の経営見通し

022-1.gif

 

B. 船腹調整制度の廃止以降(およそ5年後以降)の経営見通し

022-2.gif

(資料)今回アンケート調査

 

2] 中小造船業の労務状況

わが国の造船業は、第一次石油危機を契機とする70年代後半の第一次造船不況、そして85年のプラザ合意以降の円高を背景とした第二次造船不況と二度にわたる深刻な不況を体験したが、この時期の人員削減・新規採用の抑制によって、国内の造船業(鋼船造船所)の労働者数は、80年代前半から後半にかけて、大手を中心におよそ17万人から8万人台にまで半減した。

これらの変化は、各造船所の従業員の年齢構成にも大きな影響を与えた。96年の国内造船業の年齢構成を全産業平均及び製造業平均と比較すると、40歳代の割合が著しく高く、10年後には50歳以上の割合が大幅に高まることは明らかである。

しかし、特に規模が小さく、労働環境の悪いイメージを持たれている中小造船所では、なかなか若手の人材を確保できず、労働力不足を訴えている企業が多い。平成9年度に財団法人日本小型船舶工業会が行った調査では、36.3%の企業が労働力が「不足している」と答えている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION