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4. 中国地区の中小造船業の動向

 

(1) 中国地区における中小造船業の集積状況

中国地区(山口県西部地区を除く)には、164の許可・登録造船所が立地している(平成10年4月1日現在)。このうちの14事業所が総トン数1万トン以上の建造・修繕能力を持つ大手・中手造船所であり、残りの150事業所が今回の調査対象である中小造船所である。

大手・中手、中小とも、主に、尾道地域、因島地域、木江地域、呉地域など、広島県沿岸に多く集積している。そのほか、岡山県では大手造船所2社が中心となっており、徳山地域では岩国市から秋穂町にかけての沿岸部に、中小造船所が幅広く点在している。また、山陰には漁船の造修を行う中小造船所が立地している。

 

中国地区における地域別造船所数(平成10年4月1日現在)

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(注)地域は中国運輸局の各海運支局の管轄区域(萩は徳山海運支局内)

(資料)中国運輸局資料

※ 本調査では、中国地区における各地域(海運支局管轄区域)を次の4つに分け、分析・検討を行っている「山陰地区」:境、松江、萩  「岡山県地区」:玉野、水島  「広島県東部地区」:尾道、因島、木江  「広島県西部・山口県東部地区」:広島、呉、徳山

 

建造量から集積状況を見ると、「広島県東部地区」が平成9年度で139万総トンで最も多く、「広島県西部・山口県東部地区」が48万総トン、「岡山県地区」が41万総トンで続いている。これらの地区では、1万総トン以上の建造能力を持つ大手・中手造船所の建造割合が95%以上を占めており、金額ベースでも85%以上を占めている。一方、「山陰地区」では、大手・中手の造船所が立地していないため、500トン未満の小規模造船所の建造割合が96%を占めており、瀬戸内海側とは対照的である。

大手・中手造船所を除いた中小造船所の建造量は、広島県東部地区(3.4万総トン)、広島県西部・山口県東部地区(2.3万総トン)が多くを占めている。船種は、瀬戸内海側の3地区では貨物船が多くを占めており、広島県東部地区ではタンカーなども多い。一方、山陰地区では漁船が主体となっている。国内船・輸出船別は、広島県西部・山口県東部地区では輸出船が5割強を占めており、広島県東部地区でも4割近くを占めている。一方、山陰地区、岡山県地区では、全て国内船となっている。

 

 

 

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