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●4辺形の対角は4カ所あるから、筋交いは欅状に2通り引ける。つまり展開面は一通りではない。

●1平面上にない4辺形に折れ線を入れなければ、捩れ面、つまり曲面上にあることになる。

●4辺形部材が、捩れか折れか、折なら襷のどちらか…により構造としての強度評価は異なる。一般に設計者が気付かない程度のものであれば、どちらにしてもよいのであるが、図面にフィードバックし、設計の意図を確かめ訂正記入さすべきである。

 

折れ位置とは、プレスで押す位置であり、加熱折れであれば火口で焼く位置である。折れ位置は、線として表示し、折れ線と称する。この折れ線が、直線であり折度が一定であれば可展面であり、それ以外、例えば折れ線が曲線であったり、直線であっても折度が変化するようだと非可展面である。

部材にマーキンされている線が、折れ線であることは、[図2.2.3 曲加工記号の表示位置]の例●BKTの折れ…に示すように、折の向き(上/下)と合わさった記号で判る。

折度とは、折の向きの、「面と面のなす角度」である。やはり、この例にあるように折の実角を示すが、折れ加工後も角度がチェックできるように、折れ線を跨がず、近くのどちらかの側に描く。どの工程も角度を拾い、また与えるのには自在に合せられる「折金」を使用するので、実角で示すことにしたのである。角度数値としてもよいが、そのときは分度器が必要になり、折金→分度器→分度器→折金というように情報受け渡しが面倒だからである。ちなみに数値現図では、どちらでも自動的にアウトプットできるので、併記としている。

[写真2.2.1 折れのマーキン]に度数表示の実例を掲げる。折線に上折記号を重ね、その下に折線に直角に数値が、123.7ド…と記入されている。数値であるから、折線を跨いで示しても、折れ加工後の折角はチェックできる。

ついでに、この写真の他のマーキン記事を説明しておこう。

折れ指示の上側の、P上マ…は左舷上面マーキンの記号、さらに上両側に開先記号があるが、下面開先で4×73(サーピン)+12×25(標準V)のようである。さきに本書では開先面の記号をマーキン面:Mの位置で示してみたが、この写真の造船所では、折れ記号と同じく上/下の文字形で表し、向きや裏字によっては上の字と紛らわしい下の字には、念のため棒の下端に白丸をぶら下げる記号になっている。

 

045-1.gif

写真2.2.1 折れのマーキン

 

折といっても、折れ角はシャープな角ではなく、正しくは微小Rでの曲げである。このRを「折R」と呼び、[板内R=2×板厚]を標準とする。これより小さいと折り曲げで板縁に微細な割れ:クラックを生じる恐れがある。

 

 

 

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