日本財団 図書館


【基準】

 

2. 公害防止設備

事業者は、公害防止設備として次のものを設けることが望ましい。

(1) 廃棄物集積設備

(2) 排気及び粉じん処理装置

 

【解説】

 

2. 公害防止設備

事業場において発生する公害は、事業場の場所、地形にもよるが樹脂、溶剤より発生する臭気、切断、サンディングによる粉じん場の飛散、排水、廃棄物等が公害となるため、事業者はこれらに対し必要な処置と設備を整える必要がある。

(1) 廃棄物集塵設備

廃棄物の発生は極力低減に努めなければならないが、日々の収集とともに又は保管箱等に可燃物、不燃物等を区分して収集しておく。

焼却処置は「大気汚染防止法」の規制があり、自社にての焼却は規制値内に十分に達する装置を備えなければならず、実質的にできないので、信用ある処理専門業者に委託処理する必要がある。

(2) 排気及び粉じん処理装置

排気及び粉じん処理装置は原則的に排気ダクトを介して排気中の粉じん、有害物質及び臭気等を処理するものである。

大気中に排出される粉じん、有害物質及び臭気等は大きな社会問題を引き起こす、排気中に含まれる粒子を分離し、脱臭し大気汚染を防止する各種の装置がある。

ア. 流通型式集じん

a. 重力集じん

装置に流入した粒子のうち出口までに重力沈降により装置床面に到達した粒子を分離する集じん方式である。この種の装置で装置内に柵を設け、沈着面を増した型式をとったものもある。粉じんを含んだガスを流通するだけなので圧力損失は小さいが、重力沈降は低気流速で大粒径でないと有効でないので、主に数十μ以上の大粒径の予備的除じん装置として用いられる。

b. 遠心力集じん

遠心力集じんは重力集じんでは分離できない微小粒子を分離するものである。

気流の回転には強制渦と自由渦の型式があるが自由渦型式ガ実用されており、サイクロン式が代表的で、構造が簡単で可動部がないのが特徴である。流入した気流は外周部に沿って旋回しながら下降し、円錐部下部で反転し中心部を上昇して排出する。

c. 電気集じん

電場内では、荷電粒子はクーロン力のために反対極性の電極方向に移動することを利用して、気流中から粒子を分離する集じん方式である。この装置は単純な構造をしているので気流の流通抵抗は小さく、圧力損失は低い。また、粒子の荷電分離に高電圧を使用するが、電流は極めて小さいので運転コストが他の集じんに比べて低い。

d. 粒子充填層フィルター

ろ材として砂等の粒状物質を捕集体とした集じん装置で、従来実用装置として使用さなかった高温、摩耗性粉じんの捕集にも使用できる。ただし、粒子充填層フィルターでは時間の経過により捕集粒子再飛散が避けられないので、下流での捕集が必要である。この型式では充填粒子径を極端に小さくできないため、それほど高い性能は期待できない。

イ. 障害物型式

a. 慣性力集じん

気流の方向が変化した際粒子は慣性によって直進しようとする性質を利用して粉じんを分離する方式である。慣性力質量と速度の積に比例するので、大粒径、高速ほど大きな慣性効果があるが、高速では粒子の再飛散も同時に大きくなるので集じん性能は逆に低下する。さらに圧力損失も大きくなるので、圧力損失を低く抑え、大粒子やミストの分離に使われることが多い。

b. 洗浄集じん

液滴や液膜等の液体(主として水)を捕集媒体(捕集液)とする集じん方式の呼称である。洗浄集じんは捕集媒体による粒子の捕集と捕集液の気流からの分離の2段階で行われる点で乾式集じんと異なる。液体を用いるので、ミストや高温ガスを処理でき、場合によってはガス処理を同時に行える特徴がある。ただし、大量の水を必要とし、捕集液、集じん泥の再使用、排出にも再処理を擁する欠点がある。

c. エアフィルター

大気じんのような低濃度の粉じん処理に使用される。捕集体としてはガラス繊維、セルローズ繊維、ナイロン繊維等が一般的である。捕集体を帯電させ静電効果を賦与したものもある。

エアフィルターでは捕集された粒子はそのまま内部に保持されるので、いかに圧力損失を低く抑え捕集した集じんの保持容量を大きくするかが課題である。フィルターの構造はろ材をジグザク構造にしたり、ろ材の一部又は全部を一定期間ごとに更新する仕様のものがある。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION