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【基準】

 

第7条 有機溶剤業務管理

1. 有機溶剤作業主任者の職務

事業者は、有機溶剤作業主任者に次の事項を行わせなければならない。

(1) 有機溶剤作業主任者の職務

ア. 作業に従事する従業員が有機溶剤により汚染され、又はこれを多量に吸入しないように作業の方法を決定し、従業員を指揮すること。

イ. 局所排気装置の定期自主検査を1月を超えない期間ごとに点検すること。

ウ. 保護具の使用状況を監視すること。

エ. タンクの内部において有機溶剤業務に従業員が従事するときは、有機則第26条各号に定める措置が講じられていることを確認すること。

 

(2) 局所排気装置の定期自主検査

有機溶剤業務に用いる局所排気装置は、1年以内ごとに1回定期に次の事項について自主検査を行わなければならない、ただし、1年を超える期間使用しない装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。

ア. フード、ダクト及びファンの摩耗、腐食、くぼみその他損傷の有無及びその程度

イ. ダクト及び排風機のじん埃のたい積状態

ウ. 排風機の注油状態

エ. ダクトの接続部における緩みの有無 

オ. モーターとファンを連結するベルトの作動状態

カ. 吸気及び排気の能力

キ. その他、装置の性能を保持するために必要な事項

事業者は上記装置の使用を再開する際は同項に掲げた事項について自主検査を行わなければならない。

(3) プッシュプル型換気装置の定期自主検査

上記のア及びウの規定は、プッシュプル型換気装置に準用する。

 

【解説】

 

第7条 有機溶剤業務管理

1. 有機溶剤作業主任者の職務

FRP造船業において使用される主な有機溶剤業務の管理に当たり、管理濃度その他各有機溶剤の特性を認識しておくことが必要である。

FRP造船業に使用される主な有機溶剤の人体に及ぼす作用及び対策は次のとおりである。

ア. アセトン

a. 有害性

皮膚及び粘膜を刺激する。吸入すると頭痛、めまい、おう吐等を起こす。吸入すると、麻酔作用があり、意識を喪失する。

b. 予防措置

1] 貯蔵 火気厳禁。電気設備は防ばく構造とするのが望ましい。容器は密栓し、冷所に保管する。

2] 環境管理 第2種有機溶剤等の設備を設ける。環境測定を6か月以内ごとに1回実施する。

3] 作業管理 換気に留意する。必要に応じ保護具を着用する。

4] 健康管理 年2回健康診断を実施する。

イ. スチレン

a. 有害性

繰り返し皮膚につくと炎症や多発性神経炎を起こす。また、眼の粘膜を刺激し催涙性がある。高濃度の蒸気は麻酔作用があり、1,000ppmの濃度では30〜60分で死亡することがある。

b.予防措置

1] 貯蔵:火気厳禁。電気設備は防ばく構造とするのが望ましい。容器は密栓し、通風のよい冷所に保管する。硝酸、過マンガン酸、クロム酸等強い酸化剤と一緒に置かない。

2] 環境管理:第2種有機溶剤等の設備を設ける。

3] 作業管理:換気に留意する。必要に応じ保護具を使用する。

4] 健康管理:年2回健康診断を実施する。

ウ. トルエン

a. 有害性

液体又は蒸気は皮膚・目及びのどを刺激する。皮膚に触れると脱脂作用がある。経皮侵入し、吸入すると頭痛、目まい、疲労、貧血、造血機能障害、末梢神経障害などを起こす。高濃度では麻酔状態に陥り、意識喪失、ときには死亡することがある。なお、貧血、造血機能障害は混在するベンゼンによる。

b. 予防措置

1] 貯蔵:火気厳禁。容器は密栓し、冷所に保管する。漏えいの有無を定期的に点検する。

2] 環境管理:第2種有機溶剤等の設備を設ける。環境測定を6か月以内ごとに1回実施する。

3] 作業管理:換気に留意する。

4] 健康管理:年2回健康診断を実施する。必要により第二次健康診断を行う。

エ. メタノール

a. 有害性

皮膚及び粘膜を刺激する。吸入すると頭痛、めまい、悪心を起こし、視神経が侵され失明する。また中枢神経を侵され死亡することがある。経皮侵入する。

b. 予防措置

1] 貯蔵:火気厳禁。容器は密栓し冷所に保管する。漏えいの有無を定期的に点検する。

2] 環境管理:第2種有機溶剤等の設備を設ける。環境測定を6か月以内に1回行う。

3] 作業管理:換気に留意する。必要に応じ保護具を使用する。特に経皮侵入を防止するため、不浸透性の保護手袋を使用する。

4] 健康管理:年2回健康診断を実施する。その結果、医師が必要と認められるものについては第二次検査として作業条件調査及び視神経障害に関する検査を行う。

オ. メチルエチルケトン

a. 有害性

皮膚、粘膜を刺激する。吸入すると麻痺作用があり、意識不明になる。

13,000〜18,000ppmでは4〜8時間ばく露で生命に危険がある。

b. 予防措置

1] 貯蔵 火気厳禁。容器は密栓し、冷所に保管する。漏えいの有無を定期的に点検する。

酸化剤と一緒に置かない。

2] 環境管理 第2種有機溶剤等の設備を設ける。

3] 作業管理 換気に留意する。必要に応じ、保護具を使用する。

4] 健康管理 年2回健康診断を実施する。

 

 

 

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