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【基準】

 

(3) 危険物の取扱い及びその廃棄技術上の基準

危険物の取扱い及びその廃棄については、危政令に定める技術上の基準に従って行わなければならない。

(4) 主要な危険物の性状と管理等

事業場において貯蔵及び取扱われる危険物の性状に合った管理等を行わなければならない。

 

【解説】

 

(3) 危険物の取扱い及びその廃棄の技術上の基準

事業場において危険物の取扱い及び廃棄の技術上の基準は、おおむね次のとおりである(危政令第27条)。

ア. 吹付塗装作業は、防火上有効な隔壁で区画された安全な場所で行うこと。

なお、吹付塗装作業には、塗料の吹付塗装作業のほか、ゲルコート樹脂のスプレー塗布作業、レジンスプレー作業、及びスプレーアップ作業が含まれる。

イ. 染色又は洗浄の作業は、可燃性の蒸気の換気をよくして行うとともに、廃液をみだりに放置しないで安全に処理すること。

ウ. 危険物の廃棄物を焼却する場合は、安全な場所で、かつ燃焼又は爆発によって他に損害を及ぼすおそれのない方法で行うとともに、見張人をつけること。

エ. 危険物の廃棄物を埋没する場合は、危険物の性質に応じ、安全な場所で行うこと。

オ. 危険物は、海中又は水中に流出させ、又は投下しないこと。ただし、他に危害又は損害を及ぼすおそれのないとき、又は災害を防止するための適当な措置を講じたときは、この限りでない。

(4) 主要な危険物の性状と管理等

後述する有機溶剤の性状と重複する点があるが、ここでは火災等に関連する危険物としての性状を記す。

事業場において貯蔵あるいは取り扱われる危険物のうち、主なものの性状を表5-3に示す。

 

表5-3 主な危険物の特性*

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表5-3に掲げた危険物のそれぞれについて、貯蔵、取扱い及び消火の際の注意事項の要点を以下に示す。表5-3と合わせ日常の業務の中に反映されることを期待する。表中のメチルエチルケトンパーオキサイド及び過酸化ベンゾイルは、単体としての特性及び注意事項であり、硬化剤としてはそれぞれ希釈剤により適正な濃度に希釈されて安全性が高められているが、なお特別の注意が必要である。

a. アセトン

1] 常温で引火性の蒸気を発生し、容易に引火するので容器は密栓し、火気及び高熱物体は禁止し、直射日光を避け、冷所に保管する。

2] 耐アルコール泡・炭酸ガス・粉末消火器で消火する。少量の場合は、注水消火できる。

b. キシレン

1] 蒸気は空気より重く、低所に滞留して爆発性混合ガスをつくりやすいので容器は密栓し、冷所に保管する。

2] 火気厳禁とし、漏えいの有無を点検する。

3] 流動、ろ過などの際に帯電し、放電火花によって引火又は爆発することがあるので、特に移送、注液などの際は、装置、配管、容器などの金属部分をアースする。キシレンを溶剤とした塗料で吹付塗装を行うときは、電導性ホースの使用、電導性靴の使用、塗装場のハンガーに付着する塗料かすを頻繁に除去するなどの実施が望ましい。

4] 泡・炭酸ガス・粉末消火器で消火する。少量の場合は、注水消火できる。

c. スチレン

1] 加熱すると容易に重合が進み、粘度を増し、固体状になる。真夏には室温で引火する。また、蒸気は空気より重く、低所に滞留して爆発性の混合ガスをつくりやすいので容器は密閉し、通風のよい冷所に保管する。

2] 火気厳禁とし硝酸、過マンガン酸、クロム酸などの強い酸化剤と一緒に置かない。

3] 消火は泡・炭酸ガス・粉末消火器で行う。

d. トルエン

1] トルエンには、JIS K 2431 により純トルエン、90%トルエン、60%トルエンの3種類があり、極めて引火しやすく、空気との混合ガスは、引火、爆発しやすいので容器は密栓し、冷所に保管する。

2] 火気厳禁とし常に漏洩の有無を点検する。

3] 静電気が起きやすいので、移液などの際には、パイプ、ホース、容器などにアースしておく(ホースは電導性ホースを用いるのがよい。)。特に、タンクローリーなどの積み下ろし作業においては、流速を小さくするとともに、ホースの先端をローリーの底部にまで下げてから送液を行うか、又はローリーの底部から送液する。

4] トルエンを溶剤とした塗料で吹付を行うときには、電導性ホース、電導性靴の使用が望ましい。

トルエンの入ったタンク、ドラム缶などを修理する場合は、あらかじめスチームで洗浄する。

5] 泡・炭酸ガス・粉末消火器で消火する。なお、注水は不可。

f. メタノール

1] 揮発性が大きく、引火しやすいく、蒸気の重さは空気とほぼ同程度なので、広く拡散して爆発性ガスをつくりやすいので、容器は密栓し、冷所に保管する。

2] 火気厳禁とし、常に漏えいの有無を点検する。

3] 火花の出ない工具を使用するし、メタノール容器に使用したドラム缶を溶接修理する場合は、水を満杯にしてメタノールの蒸気を完全に追い出してから行う。

4] 水の噴霧、耐アルコール泡・炭酸ガス・粉末消火器で消火する。

g. メチルエチルケトン

1] 揮発性が大きく、極めて引火しやすく、蒸気は空気より重く、低所に滞留して爆発性混合ガスをつくりやすい。また、酸化剤(硝酸、過マンガン酸、クロム酸など)と接触すると、激しく反応して発火するので、容器は密栓し、冷所に保管する。

2] 火気厳禁とし、常に漏えいの有無を点検する。

3] 酸化剤と一緒に置かない。

4] 水の噴霧、耐アルコール泡・炭酸ガス・粉末消火器で消火する。少量の場合は、注水消火できる。

h. メチルエチルケトンパーオキサイド

1] 常温においても酸化鉄、ぼろ布などと接すると分解し、光、特に紫外線に当たり加熱されると分解する。また、大量に燃焼すると、爆発する危険性があるので、高温(30℃以上)で貯蔵しない。

2] 火気を近づけたり、衝撃、摩擦、加熱を与えない。また、日光の直射を避ける。

3] アルカリ金属、アルカリ土金属の水酸化物、酸化鉄、ナフテン酸コバルト、アミン類との接触を避ける。

4] 注水、泡・炭酸ガス・粉末消火器で消火。

i. 過酸化ベンゾイル(ベンゾイルパーオキサイド)

1] 濃硫酸、硝酸、アミン類などと接触すると分解し、爆発することがあるので、貯蔵量はできるだけ少なくし、冷暗所に置く。

2] 取扱いに際しては、摩擦、衝撃を与えないようにし、火気厳禁とするとともに高温の用具や器具との接触を避ける。

3] 爆発性を弱めるため、使用時には適当な希釈剤を用いる。

4] 有機物、酸化されやすい物質、濃硫酸、硝酸、アミン類と一緒に置かない。

5] 大量の注水による消火。消火作業には、爆発による二次災害及びジフェニル(注。ビフェニルともいう。)ガスの中毒防止に留意する。

 

 

 

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