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3.1.3 シリンダ内ガス圧力の変化

シリンダ内最大圧力が発生するクランク角度とトルクが最大値のクランク角度とは一致しないが、発生トルクとシリンダ内ガス圧力には(2.1)式に示すような理論的な関係があるので、もしシリンダ内ガス圧力に異常状態が発生すれば、このクランク軸のねじれ角度に変化が現れることが容易に想像される。したがって、クランク軸のねじれ角度をいかに精度良く連続的に監視できるかが本研究の中心的な課題となる。

 

3.2 クランク軸のねじれ角度検出装置の設計と試作

 

3.2.1 ねじれ角度の検出原理

軸にトルクが作用すれば、軸がねじれて軸の両端に位相差、つまり図4に示すようにねじれ角度が生ずる。回転する軸では図5に示すように軸の両端から角度信号を取り出すために、軸の両端とも軸1回転分(360deg.)をn等分して軸1回転につきA1〜An、B1〜Bn、とそれぞれn個の信号が出るようにしてこ1対の角度信号の位相差を測定すればよい。

 

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図4 ねじりモーメントとねじれ角度

 

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図5 ねじれ角度の検出

 

即ち

1] 軸にトルクが作用しない自由状態では、AnとBnの位相が全て等しく、AnとBnの信号は図6のようなパルス列で取り出される。

 

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図6 ねじり応力ゼロ

 

2] 軸に一定のトルクが作用して、軸がψ°ねじれている状態ではAnとBnの間には図7のように全てのパルス列には等しい位相差が生ずる。

 

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図7 ねじり応力一定

 

3] 軸に変動するトルクが作用し、軸がψ=a・sin(ω・t)と変化しながらねじれるとAnとBnの間の位相差はψ1〜ψn〜ψn+1と変化し、図8に示すようなパルス列となる。

 

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図8 ねじり応力ψ=a・sin(ω・t)

 

以上のように、回転軸からの角度信号A1〜AnとB1〜Bnとの位相差ψ1〜ψn求めれば軸の瞬時ねじれ角度を連続して計測することができる。

 

 

 

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