日本財団 図書館


の特別借款は言いましたけれども、今、1兆ぐらいの年間のプレッジの、ざっと2,000億円ですので、2割ということだと思います。ただ、それが2割で維持されるのかというのは、一にかかって、経済危機がどのくらいのインパクトで、どのくらい続くかということとの相関にもあると思いますので、例えばインドネシアなんかは、今年は2,000億以上、すべてノンプロジェクトのそういう商品借款的なものになりましたけれども、これが将来的にどの程度、地に足のついたプロジェクトものができるのかということによって、その変数次第で、この特別円借款もどのくらい動かせるのかというところにもあるんだと思います。だから、そういった途上国の経済実態、ニーズなんかも、当然、この6,000億をどう消化するかということのファクターになっていますので、今の段階で前倒しで頑張りますと言っても、なかなかそう思惑どおりにはいかないというのは、一つあるんだと思います。実際、宮沢構想のメインは、そういったノンプロの流動色の高い借款ですので、それが今後、どのくらいのスピードで危機が徐々に回復し、腰の座ったプロジェクトものができるような体制になるかというのは、私自身、なかなか読み切れないところがございます。

あと、その関連で、インドネシアなんかは特に内貨の手当の問題があるみたいで、IMFの指導というか、コンディショナリティを受けて、財政が全体としてかなり緊縮的に組まれるようになっていて、いわゆる重厚長大プロジェクトというのは、やっちゃいけないというようなことになっているわけです、ありていに言えば。そこの中で、どういうふうにこの制度を潜り込ませていくかというのも、大きな問題になっております。仮に橋のプロジェクトをやるといっても、インドネシア側の内貨負担、今、85%の融資比率ですけれども、15%はインドネシアに持ってもらう必要があるわけです。その15の自己負担分をどう捻出させるか。これが確保されないと、この制度自体も動かないわけですし、そういった周辺部分で幾つか、細かい点ですけれども、ハードルがあるということも、我々の念頭に置いておく必要があるんだというふうに思います。

以上、あっちこっち話題が飛んでしまいまして、あまりまとまりのない話となってしまいましたが、私のほうからはこれぐらいにしたいと思います。御静聴、ありがとうございました。(拍手)

【男竹理事】 ありがとうございました。国際協力の第一線に携わっているJTCAの会員の皆様にとっては、大変貴重な、有意義なお話だったと思います。まだ、若干、時間がございますので、二、三ご質問をお受けしたいと思います。せっかくの機会でございますので、どうぞご遠慮なく、手を挙げていただければと思いますが。

【質問】 運輸省航空局の高垣と申します。

運輸省関係といいますか、物流関係、それから生産基盤関係でも、若干、今、PFIと申しますか、BOTとか、民営化的なスキームが広く世の中で動き出しているんですが、今日お話を聞きました特別円借款のスキームでいうと、そういったPFI版に近いようなものではちょっと適用がしにくいのかなと思うんですが、その辺、どのようにお考えか、もしある程度の判断があれば、教えていただければと思っているんですが。

【塚田講師】 そもそもこの特別円借款自体が、経済危機対応ということで、今の資金収縮が起きている中で、公的資金を積極的に導入することによって、どうしても手抜きされがちな基盤的なインフラを手当てしましょうというのが制度の趣旨ですので、PFIは、どっちかというと平時の、民間資金を導入するメカニズムみたいなことがあると思いますので、なかなかこれとPFIの接点というか、うまく組み合わせてやるというのは難しいところがあるんだと思います。制度的な面もあるし、背景的な、今の世の中というか、アジアの状況の中を見れば。さっき申し上げたように、IPPだとかもあまりうまくいっていないというような状況の中で、PFIを導入すること自体が、今、かなり無理な状況があると。

ただ、あえてその辺の接点を見つけようと思えば、二、三年前から我々もいろいろやろうとしている民活インフラ支援という形で、周辺部分の基幹インフラをこういった特別円借でやって、その上物の、比較的収益性の高いところは民間資金をうまく引っ張ってくる。そういったプロジェクト組成のお手伝いをするという上で、これが使えればいいなと思いますね。

特に、特借であれば、日本企業に落ちるわけですから、その辺のアップストリームの段階での、日本の中でのいろいろな調整というのは、一般タイドでやるよりはやりやすいと。だから、二、三年前にやろうとしていた民活インフラ支援型の、周辺をOD

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION