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的な反応が返ってきていて、要請もぼつぼつ出てきておりますが、大口の国でまだ反応してきていない国もあります。これは要はタイドということのメリット・デメリット、金利は確かに安いんですが、そこら辺をどう評価するかということで、途上国の中でいろいろ議論がされているからだというふうに聞いております。

それでもタイドにするメリットというか、途上国に売り込みのポイントというのは何かというと、日本企業であれば、いい仕事ができますということなんじゃないかなと思うんです、最後は。すなわち、一般タイドでは、これはいろいろな方から私もお伺いするんですけれども、一部の途上国勢、途上国といっても、先進の途上国と言ったほうがいいのかもしれませんけれども、そういった国々が信じられないような低価格で応札してくるため、本来、日本企業のよい面である、きめの細かいサービスとか、あるいは納期をきちっと守るとか、そういったなかなか目に見えない質の部分、これを犠牲にして、こういった企業に対抗していくためには、赤字覚悟で応札するしかなかったというふうに聞いておりますけれども、今回のこういう制度、フレームができれば、日本企業同士の競争ですので、技術力も正当に評価される競争になることが期待されるわけです。その結果、最終プロダクツも質が保証されると。そういう理屈で、途上国には説明をしていきたいというふうに考えております。したがって、そういう信頼というか、信用がぜひとも崩れないように、崩さないように、私どもからもぜひ参加者の皆様にはお願いしたいというふうに考えております。

タイドに伴ういろいろな問題というか、途上国とのかかわりも含めて、雑談めいた話をしましたけれども、今後、我々としては、この制度をせっかくこういう形で産み落としたので、立派に成人させたいと、比喩的に言えば。これをできれば大きくしていきたいというのが本音のところでございます。ただ、そこは先ほど申し上げた制度の公平性、透明性の部分と不可分のおそらく問題だと思いますので、ここをきちっと内外に鮮明にした上で、特に最初の一、二年というのは、慎重に、真っ白な案件で動かしていきたいというのが我々の希望というか、考えでございます。

最後に、若干、実務的な話ではあるんですけれども、外務省としての体制の問題ですが、基本的には、本件はどんどん前倒しで動かしていきたいというふうに思っておりますので、年度2,000億という目安を冒頭、申し上げましたけれども、できるだけそれをより大きい額でプレッジをしていきたいというふうに考えております。したがって、かなりの程度、大使館のほうに、現地のほうに権限移譲をして、いろいろ情報収集とか、こういう案件が来ているというのを、したがって、これをとってくれという意見具申をやってもらいたいというふうに考えております。したがって、大使館主導でいろいろな動きというか、案件の申請というか、東京への意見具申が来ると思いますので、可能な限り、大使館のほうには頻繁に顔を出していただければ、意見をお伺いして、つなぐという体制にはしたいと思っております。

既にインドネシアには、政府レベルでの説明ミッションといいますか、制度の趣旨を説明する機会があったわけですけれども、今後、主要国、今の予定ではマレーシア、タイ、フィリピンあたりには、しかるべきレベルの者を送って、本件についての背景的なものも含めた説明をしたいと思っております。特にタイなんかは、特にゼネコン業界がかなり閉鎖的というか、難しい国だというふうに私も仄聞しておりまして、政治力もあるということから、本件制度自体がどの程度、受け入れられるのかというのが、なかなか難しいんじゃないかという意見もあるみたいなんですけれども、その辺はうまくもみほぐして、これが動くように、我々としても努力したいというふうに考えております。

あと、この特別円借款が仮に制度としてうまくワークするようであれば、場合によっては、期間的に延長するというようなことも考えたいと思っておりますので、そういう意味で、途上国にどの程度、これが受けるかというところは、まだ未知数のところはありますけれども、そういう気持ちでこれは動かしていきたいというふうに考えております。

最後に、アジアの経済危機との関連では、「新宮沢構想」というのも去年の11月以降、打ち上げられまして、かなり円借款については、いっときのODAがしぼんでいくんじゃないかという心配は解消されるというのはちょっと変な言い方なんですけれども、資金ニーズは今、目の前にあるわけですから、そこはかなり柔軟に借款を供与していくという、多分、環境にはなっているんだと思います。ただ、当面は、円借款全体として見れば、やはり流動色の高い借款、いわゆるノンプロジェクトものですね。こういった性格の資金がやはり大きな部分を占めるんだと思います。3年間で6,000億というふうにこ

 

 

 

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