の審査などを通じて、政府間でプロジェクトコストについては同意することになっているわけです。したがって、こういった面での歯どめはあるというふうにも考えられます。加えて、透明性の確保という観点からいえば、むしろ入札評価の過程で、さまざまな圧力というか、働きかけが行われて、公正な評価が阻害されている。あるいは評価が行われなくなることをむしろ気にしなくちゃいけないという指摘もございます。こういった評価の過程をどういうふうに公正にするかということについては、いろいろな方法があると思うんですけれども、1つは、入札の仕組み、例えば評点のつけ方ですとか、あるいは入札評価結果を応札者にも開示するということもあるんだと思います。
ただ、こういったことをすること自体は、企業の手のうちをさらすということから、否定的な反応も一方ではあるようでございますし、こういった部分は、国内の公共事業でもまだやっていないというふうに聞いておりますので、これについては、今の段階ではいろいろ異論があると思うんですけれども、何らご提案があれば、ぜひいただいて、勉強させていただきたいと思っております。
次に、ちょっと視点を変えまして、途上国にとっての意義、タイド借款というのを受け入れる側からして、これをどういうふうに考えているんだろうかということについて、二、三触れたいと思うんですけれども、途上国、借入国の側の観点からいうと、何といっても、経済危機からの回復のための即効性のある景気対策、失業対策というのが大きな課題になっているわけです。したがって、第一義的には、当然、こうした途上国側のニーズにこたえる必要がありまして、そのためには、タイド借款という制約の中ですけれども、可能な限り、現地の雇用創出効果、あるいは事業創出効果を確保するような配慮が必要だと思います。そうしないと、そもそも途上国側が借り入れてくれませんので、そういった観点から、そもそも対象分野も、道路とか、鉄道とか、あるいはかんがいといった、現地での資機材、サービスの調達が十分確保できるような分野に最初から絞ったという経緯がございます。
他方で、事業の実施者の観点からも、いたずらに日本企業の受注の縛りをかけてしまうと、土木工事なんかは、特に現地企業の参加を得ながらやっている部分が今はもう既に多いのが実態だというふうに聞いておりますし、むしろそういった参加がないと、経済合理性に合わない、おそろしく非効率的な、かつ高コストのプロジェクトになってしまう危険があるわけです。したがって、以上のような観点を踏まえて、調達条件は、今はまだ政府の部内で最終調整中でございますが、基本的には、主契約は日本タイドとして、一時下請けは日本と借入国の2国間のタイド、双方の受注が確保されるような2国間タイドとするということを考えております。さらに、そこから先の二次下請け以降については、一般タイドにすると。末端の資機材の調達は一般タイドとするというラインで現在、検討しております。
それに加えて、いわゆる原産地ルール、全体でどれだけを日本のポーションに当てるのかという部分でございますけれども、何%まで日本オリジンにするかという点は、まだ実は決まっておりません。というか、決めていないというのが実情なんですけれども。ただ、今のOECFの調達ガイドラインにあるように、何らかの形でいわゆる50%ルールを適用する、応用するということになるのではないかなという気がしております。
今、応用という言葉を使いましたけれども、どういう意味かというと、借款総額の50%とするのか、あるいは外貨ポーションの50%にするかということで、実は今いろいろ議論がございまして、その幅の中でいろいろバリエーションがあり得ると思うんですけれども、すなわち外貨ポーションの50%としてしまうと、外貨ポーションが非常に少ない事業なんかの場合は、実質的な日本企業のメリットが少なくなってしまいますので、本件措置の趣旨が貫徹されないという問題があり得るわけです。したがって、わかりやすく言えば、6,000億円の半分、3,000億円が日本に落ちますという形に少なくとも我々としてはしたいというふうに思っております。若干、露骨な議論になってしまいましたけれども、その辺のルールは、案件ごと、あるいは国の事情によっても違いますでしょうし、あまり原則で縛るというよりは、柔軟に見ていくということで、実質的には日本に落ちていくというような形にしたいというのが趣旨でございます。
とはいえ、途上国にとって見て、タイドとアンタイドのどっちがいいかというふうに問われれば、もちろん資金の効率的な活用という意味では、あと借入れの負担という観点からいえば、当然、アンタイドがいいに決まっているわけですから、そこをどういうふうに売り込んでいくかというのが、今後の大きな課題になってくるんだと思います。今、既に、インドネシアとかベトナムあたりからは、かなり積極