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因みに東アジア地域の相場は1平方メートル当たり、3千円から5千円だそうである。

もっとも今では、事務所用のビルや外国人向けの住宅の供給が増え、バブルがはじけて、大幅に土地の値段も下落したとのことで、また、住宅の賃貸料やホテルの宿泊料も大幅に値下がりしたそうである。

 

【BOTばやり】

近年、公的なODA資金が伸び悩んでいることや、公的セクターよりも民間セクターの資金を活用したほうが事業が効率的であるという認識が広まってきたことから、世銀やADB等の国際機関はBOT方式による社会開発を推奨している。

我が国でもこのような潮流を受けた動きが一部にある。しかしながら、我が国のODAの基本は、あくまでも公的セクターによる社会開発であり、ODAの仕組みそのものがBOT方式にあまりなじまないようにできている。このことの是非は、また、別のところで論じなければならないが、ともかく、ヴィエトナムの社会を見る限り、まだ、ちょっとBOTをやるほど社会のルールが確立されていないのではないかと思われる。即ち、BOTに民間が投資するには、一つ一つの事業の先行きが見通せること、社会の予見可能性が高いことが必要と思われるが、ヴィエトナムで暮らしていると、行政手続きが不透明でいつ手続が終わるかの見通しが全く立たなかったり(日本も人のことを言えないかもしれないが)、輸送能力が低いことから送った荷物がいつ着くか、また、果たして無事故でつくかどうかが分からなかったり、法律が頻繁に変更されたりと、予見可能性が非常に低いことに気付く。

しかしながら、ヴィエトナムでは構想の数だけに限れば、BOT案件が目白押しなのである。多くは、構想段階でつぶれてしまったが、ハロン湾のバイチャイ橋、ハノイ市のタインチ橋など、多くの案件がBOTを前提として調査計画されていた。著者は、大使館のODA担当として、優良案件(フィーシビリ・ティーの高そうな案件)の発掘・形成に努める任務を負っていたが、優良案件と思われるプロジェクトのいくつかは、既にBOTを前提として第三国の無償資金協力(ODA)によって調査計画が進められていた。その後、いくつかのBOT候補案件をフォローしていくと、BOTの投資家が集まらず結局日本の円借款を依頼してくるような案件が少なからずあった。

円借款の入札は国によって異なるが、一般的には、まず、事業の仕様を決めるための調査・設計、積算、入札関係図書作成までの準備をするためのエンジニアリング・サービスを担うコンサルタントの入札・契約を行ってから、事業本体の入札の準備を受注したコンサルタントが行い、その後、事業の入札を行うことが多い。エンジニアリング・サービスを担うコンサルタントの入札では、まず、テクニカル・プロポーザルの審査があり、これによって契約ネゴの順位を決め、一位から順番に入札契約の価格交渉を行う仕組みを取っている。

したがって、当初は第三国のコンサルタントがBOTを前提とした調査計画を行った案件を円借款案件として実施すると、エンジニアリング・サービスの入札

 

 

 

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