2.2 社会資本整備の現況
(1) 電力
1995年の発電量は、約145億kwで、そのうち65%が水力発電である。現状では需要を供給が上回っているものの、経済発展に伴い電力需要は急速に伸びており、需要の多い南部に大型の火力発電所を建設することによって対応しようとしている。
(2) 道路(95年の統計より)
国道の総延長は13,633?q(内2車線以上は30%のみ)、また地方政府が管理する省道及び郡道が36,843kmある。舗装率は全体で13%、国道で59.4%であるが、但し状態は老朽化が激しく良くない。ハノイ─ホーチミン間を結ぶ国道1号線でも橋のないところが2カ所ある。
(3) 鉄道
ヴィエトナムの鉄道は仏植民地時代に整備され、幹線が2,500?q、支線が840kmある。軌道の幅は、殆どの区間が1m軌道であるが、ハノイ〜ハロン間が標準軌、ハノイ〜ランソン間とハノイ〜グワンチュウ間は標準軌と1mのミックスである。電化区間はない。
(4) 海上交通、港湾
海運としては、国営海運会社が中心的役割を果たす。最大1万トンの船を10隻保有している。その他は、5千トンクラス以下の船が大部分を占める。
主要港湾として北部はハイフォン港(水深約5m)があり、中部はダナン港(水深約10m)、南部はサイゴン港(水深約10m)がある。越のダナン以北については、遠浅の地形が多いので大水深港湾を容易に整備できる地点があまり得られないといわれている。このため、多くは、水深の浅い河川港であり、水深が5m程度である。また、ダナンから南部にかけては丘陵が海岸線まで迫るような地形が多く、ダナン、クイニョン、ニャチャン、カムラン湾等では水深10m程度の港湾がある。また、南部においては、ホーチミン市内を流れるサイゴン川は水深が深く、サイゴン川沿いに、サイゴン港があるほか、目下、チーバイ港やプンタオ港を整備する計画がある。メコンデルタにおいては、カントー港等は水深が8m程度までとることができるが、メコン川の河口部に流送土砂の堆積によって水深が5m程度と浅いため、大型船舶入港は困難である。
3. ヴィエトナムに於ける我が国の経済協力
本章では、ヴィエトナムにおける我が国の経済協力に関し、著者の係わってきた案件と、その体験から得られた考察を述べる。しかしながら、まずその前に、前提となるヴィエトナムの開発・投資の環境を以下に紹介する。