そうすると、ハノイから車を生産してハイフォン港に行って、船を来るまでずうっと待ってないといけない。いつ来るかはわからない。これではやっぱり車は運べません、港にそういうスペースがあまりないんですね。ですから、どうしてもとなると、自分で倉庫をつくって、ガードマンを置いて24時間守ってないと、また何が起こるかわからないので、そういうことが必要になってくる。そうすると、船はだめと。
じゃ、次は、一番安いのは鉄道だということで、幸いなことにヴィエトナムはフランスが敷いてくれた鉄道が1,300キロ走っていますので、これだと。鉄道で行けと。今度は鉄道会社に駆け込んでいく。そうしたら、荷物はいい、要らないと言われた。どうしてですか、お金は払いますよと、お金を払っても運べないんだと、なぜならば、ヴィエトナム国鉄には、貨車がない、機関車もない。だから、要するにあんたが幾らお金を積んでも運べないんだよということで、鉄道もだめと。
結局どうなったかというと、しようがないから、道路で運ぶかなと。今度はこの道路を、1号線というのがあるんですけれども、ずうっとこれを走ってみた。そうしたら、途中で2カ所橋のない川がある。しかもそこは、渡し船になっていて、急な斜路があるものですから、自動車のパントレーラーが、持っていくとお尻をこすっちゃってだめということで、結局、トラック1台に1個の完成車を載っけて、一つ一つ、1,300キロ走って運ぶ。しかも、トラック1台に運ぶときに、全部例えば部品の輸入証明、それから自動車のエンジンのナンバーとその輸入証明、それから通関証明とかそういうのが全部要るわけです。これを1台の車の運ちゃんに一つ一つ持たせる。だから10台送ると、10セットこういう書類をつくって、当局のこれで間違いないというスタンプを、警察から通関当局とか、いろいろなところの判こを全部もらって、運ちゃんにハイヨと渡す。あと、さらに途中でおまわりさんがときどき捕まえて、お小遣いを要求するから、100ドルぐらい持たせてほしいと。大体ハノイからホーチミンまで行くと、その100ドルがちゃんとなくなっちゃうんだそうで、ハノイ─ホーチミン間の輸送で600ドルかかると。そうすると、これはいくら投資しても、この国はだめだなということで、非常に日本の企業も苦労していらっしゃったということです。
それから、少し日本に行って勉強したらどうだということで、日本政府からたまたま調査訓令が来て、ヴィエトナムに教育円借款というのを用意するから、それをやる気があるかどうか聞いてみると言われたわけです。それで、ヴィエトナム側に行って、金利が安い円借款ができて、0.75%で40年返済という、非常にばかみたいに安いお金があるので、使って日本に留学させませんかと申し上げたんです。そうしたら、何と言ったかというと、円借款というのは、ジェネラルアンタイドですよねと、だから、これは当然使い道としては、お金でアメリカやヨーロッパに留学してもいいんですねと言って、驚いちゃって、いや、これは日本に留学するってお金だよと。さすがにそうじゃないと、多分東京もうんと言わないんだけど、困ったねと言ったら、じゃ、わかりました、検討しますということで検討してもらって、どうなのかなと思ったんですが、返ってきた答えは、いろいろ聞いたんですけれども、ヴィエトナムの若い人は、やはり英語がうまくなりたいということで、あまり日本には来たくないということだそうで、またこれも困ってしまったということであります。
そのほかにもいろいろ困ったことがそこに書いてあるんですが、時間の関係もあるんで、あと1点ぐらいにしますけれども、あと、困ったのは、やたらBOTプロジェクトが多いんですね。今は世の中の趨勢として、世銀もADBも、国際機関はみんな諸手を挙げてBOTでやれと、民活だとおっしゃるし、日本の政府もあまり反対できないものですから、尻馬に乗って民活だと言っておるんですけれども、やはり、民活とかあるいはBOTというのは、ある程度は社会的なルールがしっかりしていないと、なかなか成り立たないわけです。
ヴィエトナムではどうかなと思っていたんですけれども、蓋を開けてみると、いっぱいBOTがあるんですね。何でこんなにBOTがあるのかなと。行く先、行く先みんなBOTになっている。私は開発調査も担当しましたので、なるべく優良案件を発掘せいということ、優良案件というのは、フィージビリティが高そうな案件なんですけれども、そういうのがみんな軒並みBOTで調査着手されている。これじゃ、我々はもうあまりフィージブルでないものしか調査できないんじゃないかと思って危機感を持ったのですけれども。だんだんわかってきたことは、どうも日本以外の、日本のコンサルタントでもやっている方がいらっしゃるのかもしれないんですが、円借款を借りると、借金だと。BOTは、外国企業が出資するんだから、あんたの借金にはならないと。マレーシアを見ろ、マレーシアは円借款を返すのにヒイヒイ言っている、ああなりたくないだろうということを相当ヴィエトナムの中でキャンペーンをやったらしくて、ヴィエトナムの人たちはすっかり信じて、それはBOTがいいと。しかもそうやると、仕かけた連中は、必ずヴィエトナムの人たちを自分の本国に連れていって、研修と称して、いろいろ接待するわけです。だから、BOTでやると、いろいろな外国のコンサルタントが来てじゃんじゃんやってくれるし、日本からJICAがやってくるぞ、日本政府のこわもてのお役人さんが来て、何か、案件の優先順位はどうなっているんですかなんて、こういうことをやるものですからね、いやだということで、皆さん、BOTが大好きになっちゃったらしいわけです。