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それに加えまして、年報の16ページに書いてあります。これはことしの4月に政府が発表した総合経済対策の中に盛り込まれているアジア支援策の円借款関連部分なんですけれども、これは金利面で特段の措置をしているということです、まず第一には、構造調整支援型の案件に対する金利を特別金利ということで、今後3年間について1%という金利を適用するということであります。それから2番目は、通貨価値の急激な変動により、実質的な生活収入がぐっと低下した国があるわけです。インドネシア、フィリピン、マレーシアは、最新の為替レートで計算しますと、所得水準がワンランクかツーランク下がります。こういった国に対しては、見直した後の所得水準に基づく円借款の金利を適用していくということで、金利面での救済を図っていくわけです。

それから、これは、そういった面で条件面、あるいは供与内容のシフトによる対応でございますけれども、最近、話題になっております宮沢構想、あるいは新聞で、まだ私は正式には聞いていないんですけれども、いわゆるインフラ支援のための特別な円借款の構想がありますね。そういう量的な手当、これも合わせて行われつつあるということであります。これが円借款によるアジア支援ということでございます。

続きまして、ちょっと時間が大分なくなりましたので、あとはちょっと場所だけ簡単にご紹介しておきます。先ほど申し上げましたように、私どもも、最近力を入れている活動として、融資業務だけではなくて、その融資業務にかかわる、技術協力といったらJICAさんの関係で言ってはいけないことになっているんですが、そういうサポート的な業務ですね。要すれば、基金自身が基金自身の経費でコンサルタントを雇用して、いろいろ案件形成をしたり、案件実施中に問題が起こった案件についてその対処策を講じたり、それから特に、完成後の案件ですね。これは39〜41ページぐらいに書いてありますが、完成した後の案件で、完成はしたけれども、プロジェクトの効果が出ていない場合に、それに対して効果をちゃんと発現させるためにも技術協力を行う。こういった予算が、これは10年ぐらい前からこういう予算を設けてやっているんですが、今年度であれば17億円の予算をいただいてやっておりますが、こういったものを今後強化していきたいと思っております。その辺の紹介が、年報の31〜33ページが案件形成促進調査、それから35ページが案件実施促進調査、それから39〜40ページが援助効果促進調査というようなことで、その趣旨等が年報に載っていますので、興味のある方はごらんいただきたいと思います。

それから、OECFとJICAとの連携ということで、これは年報には書いてありませんけれども、平成10年度、今年度から、特別な予算ということで、これは基金のほうについたんじゃなくてJICAさんのほうについたんですが、要するにJICAさんにつけた予算を使って、基金とJICAとの連携を強化していくというようなことが、4つの事項について措置されております。第1が、いわゆる連携D/Dと呼ばれているもので、JICAの開発調査予算を使って、円借款案件の詳細設計を行うということでございます。それから第2が、資金協力連携専門家制度ということで、資金協力との連携を目的とした専門家を、JICAさんが派遣するということでございます。それから3番目が、リハビリ無償。これは予算としては外務省でございます。外務省で、JICAが実施促進をするという立場ですが、要するに円借款の完成した案件で、リハビリテーションを必要とするものについて、無償資金でやりましょうということです。それから一番最後に、研修コースということです。円借款の関連する新たな研修コースを4つ設けていただくことになっていまして、そういったものを使って研修を図るというようなことをやっているということでございます。

これで終わりますが、お手元の資料、別途A4版の資料、これは一応、最近の運輸セクターに対する円借款案件の一覧表をつけておきましたので、ファクトシートとしてご利用になる方はご利用いただければと思います。

以上でございます。ご質問等、お受けしたいと思います。

【男竹理事】 どうもありがとうございました。

それでは、ご出席の皆さんから、ご質問をお受けしたいと思います。どうぞご遠慮なく。どうぞ、中尾さん。所属をおっしゃっていただけますか。

【質問】 海外造船協力センターの中尾でございます。

ガイドラインについてなんですけれども、強制力と申しますか、改訂実施機関に、ガイドラインはこう書いてあるんだよという話をしたときに、抗弁されるわけです。例えば今やっている案件で、ツーエンベロップですよという話に対して、実施機関が抗弁をしてくるわけなんですが、そういう点について、基金さんのガイドラインがどのくらい向こうに力を出していただけるのかというところが悩んじゃうところなんですが、あわせてそこで、「じゃ、我々、直接OECFさんに行って話をするから、あんたら、OECFさんと直接話してください、よく聞きなさい、我々が言っていることがほんとうかどうか」というふうなことにまでなりかねない状況なんですが、基本的に、基金さんのガイドラインというのは、どのくらいの力が実施機関にインパクトがあるのかなということにつきまして、お聞かせいただければと思っているんですが。

 

 

 

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