【橋本講師】 どうお答えしていいかわからないんですけれども、強制力は相当あると思っていますけどね。基本的には、ガイドラインに明らかに反する調達は、私どもはそういったものについてはファイナンスをしませんので。そこははっきりしています。
今のツーエンベロップかどうかという話につきましては、ただ、ツーエンベロップでなければならないという表現にはしていないんですよね。今回のガイドラインの改訂は、ツーエンベロップとか、ツーステージにつきましては、そのメニューを提示しました。そのガイドラインの中に挙げてあるメニューの一つ一つに入れました。それに基づいて、具体的にどの方向でやっていくのかということは、個々の調達ごとにその審査の際に、OECFと相手国との間で合意しましょうというようなスタンスです。ですから、その中で議論されましたということだと思うんです。
ただ、P/Qの実施については、メニューではなくて、P/Qは基本的には大きなものについてはやらんといかん、そういう表現にしましたので、これはかなり我々も、交渉のときはそういう方針で臨みますし、従来よりも強いスタンスになっているということだと思います。
【質問】 国際観光開発研究センターの篠原と申します。
実は今度、来年の1月に、レバノンの観光開発の案件で現地へ行くんですけれども、レバノンの1人当たりの国民所得が3,000ドルをつい最近超えまして、3,000ドルを超えると、原則として環境案件以外の円借款はだめだというふうに言われているんですが、それはほんとうでしょうか。また、その場合、環境案件というのは狭い意味での環境なのでしょうか。先ほど説明がありました、広い意味でのインターミナルに該当するのかどうか、お伺いしたいと思います。
【橋本講師】 最近、政策変更があったかどうかはちょっと承知していない、多分まだないと思うんですけれども、おっしゃいましたことは事実です。基本的には、中進国につきましては、環境案件しか供与しないという立場をとっている省がありまして、非常にその省の力が強いものですから、実態として、中進国については環境案件しか供与しておりません。ただ、その場合の環境案件の定義というのは広い意味の環境案件です。
【質問】 パシフィックコンサルタンツインターナショナルの榊原と申します。
お話の中の、OECFとJICAの連携の中の開発調査、特に連携D/Dの話なんですけれども、例えば30ページの円借款のプロジェクトサイクルの中で、どの時点でこの案件については、D/DをJICAに持っていこうとかという動きが出てくるのかということをちょっと教えていただきたいんですけれども。
【橋本講師】 このプロジェクトサイクルは、最近のJICAとの連携の動きを反映しないサイクルになっていますので、来年の年報からはそれが入ってきます。これは古いバージョンであります。それで、じゃ、どこからかということでございますけれども、基本的に、要講のときからというぐあいに考えています。今、我々が推奨していますのは、JICAもそれを合意していますけれども、円借款の要請を出すときに、あわせて開調D/Dの要請も出してもらうというようなことで、早い段階からJICAと基金とで、これは連携D/Dでいこうということで目星をつけて、できるだけ、例えば基金が審査ミッションを派遣する際には、JICAさんからD/Dに関する事前調査まではちょっと無理にしても、少なくとも予備調査ミッションぐらいは出してもらえないかということで、いろいろ制度的な制約がある面はありますが、それを乗り越えてやっていこうということで、これはJICAさんだけではなくて、政府をつくっている官庁のほうとも話をしております。
【男竹理事】 よろしいでしょうか。先ほどお手が挙がっていましたが。どうぞ。
【質問】 運輸政策研究機構の西田と申しますけれども、アジア支援についてちょっとお尋ねしたいんですが、途上国の産業基盤を強化する必要がある、財政ですね。そのために、人初育成について、そういったものに力を注いでいくということで、そのとおりだと思うんですけれども、その中で、ツーステップ・ローンにつきましては、これはいわゆるプロジェクトものでして、ただその一方で、なかなかF/Sとか、マスタープランというのは育ちにくい。なかなか放っておいてそのままできるものではないという構造があると思います。したがって、OECFさんのほうでできることとして、SAPROFなどによるこういったツーステップ・ローンの拡充ということがあると思うんですが、その点についての方針なりをお聞かせ願えればと思いますが。
【橋本講師】 まさにおっしゃるとおりでございます。ただ、ちょっと誤解がないように、JICAさんも、ツーステップローンのF/Sはやっていらっしゃるんですよね。ですから、そういったものが活用できるときはそういったものを活用します。