これも年次報告書に、19ページの右上の表を見ていただければいいと思うんですが、私どもは、一応貸付事項をする際に、例えば1つのプロジェクトを実施する際に、いろいろな物やサービスを相手国から調達するわけですが、どこから調達したか、これを契約者ベース、いわゆる物の厳密なオリジンではありません、契約者ベースです。これで統計をとっております。その統計が、ここの表2-1と表2-2に掲げてあるものでございますけれども、まず上のほうです。これを見ますと、確かに日本からの調達は27.9%、97年はですね。96年は33%となってちょっと上がったので、よかった、よかったと思ったんですけれども、97年がまた27%と下がってしまったわけですね。これがよく言われる、円借款では、日本企業の受注率は3割を下回っているというのが、この表の数字から言われているわけでございます。
ただ、私ども、これは若干ミスリーディンクだなという感じがしております。それはなぜかというと、2-1の一番下のほうをちょっとごらんいただきたいんですけれども、開発途上国からの調達が、大体全体の6割ぐらいを占めているわけです。しかもその半分は内貨分なんです。つまり円借款は、かつては─かつてはといっても10年以上前ですけれども、基本的にその国が外国から輸入するものを対象にしていたわけです、外貨分と我々は呼んでいますけれども、これは、要するに、その国が外貨建てで契約して輸入するものということでございますので、それを対象にしていたわけですが、基金はポリシーを10年前に全面的に変えました。そこで、融資比率方式という新しい融資方式を導入いたしまして、外・内貨を問わず、とにかくプロジェクトコストの一定割合を融資する。つまり、そのプロジェクトを実施するために、インドネシアならインドネシアがインドネシア国内で調達するもの、これは国内での調達ですから、例えばインドネシアであれば、ルピア建ての契約で調達するわけでございますけれども、そういったものも融資対象にすることにしたわけでございます。
なぜそういうことをやったかといいますと、ちょうどそのころ、各国とも財政難に陥りまして、財政難のために、内貨資金の手当てができない。そのために、せっかく日本のコントラクターさんが受注したプロジェクトも、工事がとまっちゃうというようなことが起こったわけです。これはあかんというので、それじゃ、本来それまでは、国内財政資金で手当てをしていた内貨による調達部分、これについても、プロジェクト・トータルコストの一定割合のうちに入るものについては、融資対象としようということで転換したわけでございます。その結果として、円借款の内貨分の比率というのは年々増えておりまして、97年はついに30%を超えたということでございます。
本来、この内貨部分というのは国の中で調達するものですから、日本のコントラクターさんが、ほかのコントラクターさんと競争して、受注したり受注しなかったというような議論の範疇に入る部分じゃないわけでございますね。したがいまして、それを除いて、いわゆる競争という観点で問題になる外貨部分について、じゃ、どこから調達しているのかというのを分析したのが表2-2でございまして、これをごらんになりますと、96年の場合は46.1%、97年は40.8%、この数字をどう評価するかというのはいろいろな見方があるんですけれども、ほぼ100%一般タイドの条件下で競争して、日本企業が46%とっているというのは、まあ、悪くないんじゃないのという見方もできるんじゃないかと私は思っております。そういうこともちょっと補足しておきたいと思います。
続きまして、調達ガイドライン及びコンサルタント雇用ガイドラインの改訂につきまして、21ページでご説明させていただきたいと思います。
一方で、今私が申し上げたように、私は、円借款での日本企業の受注率が低いと。極端なことをおっしゃる方は、27%というのは実感から見て多過ぎる。実際に、日本企業の受注率は10%ぐらいじゃないかというようなことをおっしゃる某メーカーの方もいらっしゃったんですね。実はそのとき、その会社がどのくらい円借款の受注をしているのかと調べてみましたら、その会社だけで、円借款全体の10%受注していることがわかりまして、おたくは何ですか、1社で全部とらなきゃ気が済まないんですかと申し上げたくなったようなことがあるわけですけれども、若干そういう反論は、私はいたしたいとは思っておりますけれども、しかし、それにしても、やっぱり私どもの円借款における調達が易きに流れて、つまり、悪かろう、安かろうというような調達を許しているがために、その結果として、日本企業の受注率が下がるというようなことがあってはいかんという観点から、一昨年から、私どもの中にガイドライン研究会というのを設けまして、いろいろな業界の皆さん、建設業界、商社さん、それからコンサルタント業界、それぞれ代表を出していただきまして、私どもの、いわゆる調達ガイドライン、それからコンサルタント雇用ガイドラインについて、見直しを行ったわけでございます。
その議論も、ご意見も踏まえまして、最終的には私どもの判断と責任でということで、当然そうでございますけれども、昨年の1月に、日付はひょっとしたらその前の12月ぐらいになっているかもしれませんけれども、調達ガイドライン及びコンサルタント雇用ガイドラインの改訂を行いました。これは10年ぶりの改訂でございまして、年報ではそんなに詳しく書いておりませんけれども、基本的には、プロジェクトの入札において、技術面の評価を強化する。借入国は強化しなければならないということを、具体的にガイドラインの改訂という形でやったわけです。