4. インドネシアの外航海運政策
(1) 海運法制:
1992年9月17日付けLaw No.21/1992｢NAVIGATION｣という包括海事法の体系の下で、第IX章｢TRANSPORTATION｣の規定(外航海運は内航海運も含めて第1部第69条より第4部第76条)の下で律せられる。但し、実施細則の制定が遅れており、アジア通貨危機以後1960年代の海運保護政策の時代に逆行する動きも近隣国にあり、今後の制定作業には十分注目して行く必要があろう。
第69条第1項では、外航海運を含めて｢The Business of water transportation shall be operated with a license from the Government｣の規定、第2項｢The operation of a transportation business [前項] shall be undertaken by an Indonesian legal entity specially dealing in water transportation｣及び第4項で｢同条1-3項の規定は別途政府規則で制定する｣とされている。
第76条｢Foreign Sea Transportation｣の規定では、第1項｢The operation of sea transportation from and to abroad shall be undertaken by an Indonesian legal entity(第69条関係) and/or by a foreign sea transportation company｣として外国籍企業のインドネシア水域での運航が認められることになる。
内航海運の規定は、第73条において｢The operation of domestic sea transportation shall resort to the use of ships with Indonesian flags｣とされCabotage制度を明記し、第2項において特殊例(貨物需要を自国船で満たし得ないケース)として政府が外国船の使用を決することができる旨規定する。
第74条では、内航海上輸送のパターンは域内外統一的システムで包括的に策定、実施されなければならないとされている。これは1982年に輸出促進のために打ち出された｢Gateway Port｣(4大港への輸出入貨物の集約)を指すものと思われる。しかし、輸出入貨物の積出しの実態は首都ジャカルタ中心のTanjung Priok 1港に集約されている現状にあり、現在、JICA開発調査によるGate Way方式の見直し調査が実施されている状況にある。
外資とのJV(Joint Venture)については、1994年5月｢Shares Ownership in Companies, Established in Framework of Foreign Capital Investment｣で規律される。第2条でJVの形態として｢JVは外国資本とインドネシア国民/インドネシア法人｣または｢外国人及び/または法人による全資本の所有形態で、直接｣とも規定。License方式で延長を含め30年の許容期間(第3条第1項)がある。
