タイは、大陸性民族(在バンコク邦船社の見方)で概して海に向かない面があり、現にミャンマーなど外国船員の配乗が行われているが、我が国としては既に船員教育面のODA協力が実施されている。アジアでは、状況が整えば民間ベースでの外航海運面での協調・提携関係が模索されなければならない時代が来るものとも思われる。
ともかく、アジア新興経済国海運がグローバル化された近代装備をもつ大型船主流の国際海運市場に参加して行く現実の壁は、巨大な資金投資を要しかつ大きなリスクを伴って引き続き厚いものがあると思われる。これに抗する形での政府施策による海運助成政策は、一面では、諸国の財政負担リスクとの攻めぎ合いにもなる。国際場裏での対応としては、少なくとも海運市場自由化手続きを強化する方向で海運保護政策を採る諸国との間で、困難があっても対話を深めることが肝要になってくると思われる。
(1) 世界の海上コンテナ荷動き:
1) 北米航路:
East Bound(日本/北米):98年は若干伸びて昨年の5.2百万TEUから5.7百万TEUと予測。
West Bound(北米/日本):98年は昨年の4.1百万TEUから4.0百万TEUと前年並を予想。
2) 欧州航路:
East Bound:98年は昨年の3.4百万TEUから3.1百万TEUと若干の落ち込み。
West Bound:98年は昨年の4.4百万TEUから4.8百万TEUと微増を予想。
(2) 1) 我が国を中心とするアジア開係海上コンテナ荷動き:
1] 1997年:日本発アジア諸国に対する海上コンテナの荷動き:
1997年の1996年対比:総じて▲7.8%程度の落ち込みを示し最悪のシナリオ。インドネシアが前年比同水準(0.0%)で推移したのに対し、タイの▲25.3%を筆頭に、フィリピン▲13.1%、中国▲5.0%、台湾及び香港が何れも▲4.0%、シンガポール▲3.6%、唯一マレーシアのみ0.9%と微増。
2] 1998年予測:1997年対比では、総じて▲1.9%程度の落ち込みを見込む。
インドネシアが大きく落ち込むとみて▲6.0%、タイが引き続き▲6.8%、フィリピン▲4.0%及びマレーシア▲2.7%程度の落ち込みを見込んでおり、台湾、香港及びシンガポールはほぼ前年なみの我が国輸出量があるとみている。