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第9章 提言

 

第1節 背景としての経済・貿易:

 

海運は、経済貿易活動に付随する海運需要に対応するものであり、第I部第2章第4節「経済等の見通し」の分析に従い、調査対象4カ国においてもアジア通貨危機当時の混乱は脱しつつある状況にあり、1999年以降に向けて海上貿易需要のマイナス幅は少なくとも縮小して行くものと思われる。

「経済と貿易」の項目は、海運にとって与件であり、特段の提言はない。

 

第2節 背景としての海上貿易

 

1996年の世界全海上荷動き量は重量ぺースで47億9,000万トン、対前年比2.2%増で90年から6年間の年平均伸び率3.15%増となっている。(1997年50億74万トン、対前年比215百万トン増の44%増の未領域記録を更新。90年から7年間年平均伸び率3.54%増。)

これに対し調査対象4カ国の97年海上荷動が世界の海上荷動きに占める4カ国合計の輸出入合計で14.19%を占め、アジア新興経済諸国の世界の海上荷動きに占める割合が高いことが分かる。

1998年半ばにおけるある邦船社のコンテナ海上荷動きの予想は次のとおりであった。1999年以降の海上貿易荷動きはアジア通貨危機以降、足並みは遅いと見られながらも、北米及び欧州の比較的堅調な経済に支えられてアジア新興諸国の通貨切り下げによる輸出競争力の強含みにより逐次改善に向かっている。しかし、アジア新興諸国の消費の低迷は続いており、また、我が国の消費動向の改善が期待される。

かかる情勢を踏まえ、21世紀に向けて調査対象4カ国においても、自国海運発展に向けて意気軒高であり、自国貿易は自国の商船隊でドル セーブのためにも運びたいとの願望が強くもたれている。

今回の調査対象諸国のうち、台湾は先進海運国であり、今次の調査対象国の中では、別格である。台湾交通部航政司司長 呉榮貴先生との対話でも、アジアなど開発途上諸国海運の整備開発施策に関し我が国と協調し情報交換を円滑化する関係にあることも確認された。

 

 

 

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