しかしながら、国営海運企業は引き続き2社存続し、補助金ないし国家予算で賄われていると推定できる。
政府の手配貨物は自国船積みが義務付けられている。船舶増強・造船新興計画である Caraka Jaya計画(Phase I、II、III)はPhase IIIの中途にてアジア通貨危機もあり一時挫折しておりこれを継ぐPalawa Buwana Project(Phase IV)も確定していない。
また、1992年海運法制は細則の制定が待たれており、周辺ASEAN諸国と足並みをそろえたいという所得税の免除など新たな動きにも注目して細則草案作業を見守って行く必要があろう。
インドネシア海上貿易は定期船コンテナ輸送ではアジア及び域内の同国直航輸送は別として、基幹航路上はフィーダー系として位置付けられる。その中でSamudera Shippingは同国関係フィーダー輸送面、アジア域内輸送で実力を付けており、自由市場主義に徹する意見は心強かった。
(2) マレーシア
マレーシア国船社(外国籍船勢力を含むオペレーターのシェアーかどうかは不明)の海上輸送実績は、回答では、MISC、Global Venture(GMV)及びHalim Mazminなど3社中心にでマレーシア海上貨物の15%を運んでいるとしている。
マレーシア筆頭の船社MISCは、国営企業として発足し、ごく最近政府株の石油公社による移し替えが行われたにしても、国家海運企業として定義されよう。
マレーシアの海運政策に関して同国の運輸省からの回答は空白のままであるが、MISC面談では、船社に対する所得税は免除され、補助金政策が採られていること及び政府手配貨物の自国船積みも義務付けられている旨確認。
何よりも強力な施策は、海運育成保護政策:Shipping FUND(SVF、SFF)による援助、船舶輸入税の免除、減価償却の促進、所得税の免除、船員所得税の免除であり、これらに加え、「商社に対する自国船積みの場合の所得税上の支払運賃2倍の控除などの誘導政策」によって自国船積みを要請している。
アジア通貨危機を景気にマハティール首相の一声によりその政策が徹底されようとしている。(Malaysian Maritime Source Book及び新聞報道)