海運は、経済・貿易に付随する産業であり、世界経済、特にアジア通貨危機以後のアジア海運発展のためには、我が国を含めたアジア新興経済が必ずや回復されなければならないとの決意で、アジアにおける海運秩序の構築に向けて備えて行かなければならないものと思料される。
世界経済やアジア経済に影響の大きい日本の経済は、7─9月期GDPが実質で前期比0.7%、年率換算で2.6%減少し、戦後最悪の四・四半期連続のマイナス成長となった。貸し渋りや雇用不安の深刻化を背景に個人消費、住宅投資、設備投資など民需が総崩れとなり、4月の総合経済対策の効果が浸透していないことが浮き彫りになった模様。(新聞報道)
12月期に入って日本経済は「新しい胎動が感じられる。底打ち感が出ている。」(経済企画庁長宮)との発言もあり、一部経済界にも同じ見方をする意見も出始めてもいる。小渕内閣が98年11月16日に緊急経済対策を決めた際に、来年度を「はっきりしたプラス成長にする。」ことを公約しており、経済企画庁及び通産省の合意によれば、来年度の実質成長率をプラス0.5%程度とし、1%を努力目標とすることとなっている。
(2) 東南アジアの経済見通し
アジア開発銀行(ADB)は98年11月27日、4月に発表した98、99年のアジア地域の経済成長見通しを軒並み下方修正した。('98/11/28日経朝刊9面)
東南アジアでは98年通年で4月の予測マイナス0.4%がさらに悪化しマイナス6.9%とされている。
99年には最悪のインドネシアのマイナス幅が大幅に縮小され、マイナス0.3%にとどまる見込み。同国は引き続き食料不足などで15%の物価上昇を見込んでおり、警戒懸念があるとされている。
マレーシアは、資本流出が直撃、2年連続のマイナス成長を予測。タイは経済改革が進み来年は96年以来3年ぶりのプラス成長を予測しているが、成長率は0.5%と小幅。台湾については記事に特段の言及はなく、比較的安定していると見られてきたが、98年末金融不安で倒産が相次いでいる。
香港は7─9月期マイナス7%との報道。フィリピンは98年7─9月期前年同期比マイナス0.1%と4─6月期に続き農業が2期連続マイナス成長であったのに加えて、建設部門の不振が主因。