バン開放経済に対応して自己資本比率の確保にも窮する銀行の窮状とも相俟った銀行の貸し渋りにより、中小企業の連鎖倒産が増し、大型銀行の破綻をすら招き、98年12月末には失業率は実に4.4%にも及び、失業者が増大する事態となった。
第2節 アジア通貨危機の勃発(新聞情報)
1. タイに始まるアジア通貨危機
1997年後半タイに始まるアジア通貨危機は、タイ国に生じたバブル経済性に対する不安などを要因として外資市場の金融不安を醸成し、短期外国資本が一気に逃避する事態によってタイ一国の金融・経済をも脅かす事態となった。
2. インドネシア及び韓国等アジア諸国への波及
かかる事態は、即、インドネシア及び韓国に飛び火し、マレーシアはいち早く自国通貨リンギの防衛(リンギの対ドル固定制と外貨管理)のため外資市場と対決する対応も現れた。もともと慎ましく推移してきたフィリピン経済では被害軽微に推移したが、これらの国では対ドルの自国通貨の大幅な切り下げはやむない事態となった。
また、比較的堅調であった中国は自国通貨「元」の対ドル相場を堅持しつつ従来の8%台という大幅経済成長率の維持に努めているが、ドル ペッグ性を維持する香港市場の影響は大きい。比較的堅調に推移してきた台湾、シンガポールなどの経済にも爾後陰に陽に影響を及ぼすこととなった。
3. 我が国経済不況色の相乗的影響
アジア通貨危機は、我が国の金融不良債権処理問題、金融引き締めに伴う倒産増、失業率の増大(99年末4.4%)、消費低迷など不況色の影響によるアジア新興経済諸国の輸出減も大きく作用して、アジア経済不況の様相をより深めることとなった。アジア通貨危機を巡るアジア経済、就中、世界経済の牽引役は我が国の不況脱出如何にあるとの国際認識に立って、小渕政権は99年度プラス0.5%の成長率の確保に努力を傾注している。