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4. アジア新興経済を推進した原動力

アジア新興経済を推進する原動力となったものは、我が国産業の空洞化などと騒がれたとおり、我が国の産業資本がより安価なコストを東南アジア諸国に求めて移動する気運の高まりとともに、受け入れ側であるアジア新興経済諸国がこれを積極化する体制を敷いて発展したものと理解されている。

 

5. アジア新興経済のバブル性と短期外資導入に伴う脆弱性

アジア新興経済の勃興は、もともと外資依存主体に進められた融資によって過大な取り引きが進み、値ガサの上がったバブル経済の脆弱性を秘めていた。

このようなアジア経済が内包していた脆弱性は、とりわけ、その導入した外資が逃げ足の速い一国経済をも揺るがす大量の短期外国流動資金であったため、それによってアジア新興諸国が秘めていたバブルが一気に弾ける主因となった。1997年後半タイに始まったいわゆるアジア通貨危機は、いち早くインドネシア、韓国に飛び火し、我が国の不況色とも相乗して今日のアジア不況の様相を呈した。(新聞情報)

 

6. アジア新興経済と海運のグローバル化:新たな海運秩序の構築(調査団所見)

アジア新興経済圏の出現により、海運分野でも日本を中心とするアジア海運船社に加え欧米の船社も参入して、例えば世界の定期コンテナ航路を中心として国際レベルの船社間の提携による巨大なアライアンスの出現など海運のグローバル化が進み、新たな海運秩序の構築がはじまった。

北米及び欧州の世界海上コンテナ定期航路のグローバル化は、アジア海上貿易を一つの核として組み込むことを意味し、従来アジア開発途上諸国の海上貿易が個別の二国間の海上輸送として律せられ得たものが、極限のコスト削減を求めて、アジアと欧州及び北米の二大航路に集約・組み込まれる形となった。

 

7. 背景としての我が国のバブル経済の破綻と金融不況(現代用話の基礎知識1998)

我が国でも、1989年5月からの90年3月までの5回に亘る6.0%までの公定歩合の引き上げも効無く、バブル経済は、株・債権・土地のトリプル安を招来し、バブル経済の弔鐘となった。

我が国では、株価及び地価の低落による金融市場における不良債権処理が累積し、世界金融市場における日本金融経済への不信は、ジャパン・プレミアムを招来、一方でビッグ

 

 

 

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