タイ海運の発展が遅れているのは、従来、政府内で政策意思決定に対するOMPCの影響力が弱かったとの反省に立ち、意思決定機能の強化を図る意向にある。
同国海運当局の内・外航海運発展施策において引き続き海運を助成する立場が見受けられるとしても、その取り組み意欲には熱烈なものがある。
タイは、アジアにおける指導力が高く、他の開発途上諸国への影響度の高い国の一つである。OMPCとは、特にAsia Shipping Forum等を通じ、我が国の官民ベースでの海運関係の親密度が深く、同国の外航海運のより健全な発展を方向付けるためにも、我が国が協力し、支えられるものがあればこれらを支援することが、引いてはアジア全体の海運市場自由化秩序の早期確立を促進する効果につながると考えられる。
〈個別提言〉
1) 外航海運政策:
タイは、WTO、APEC及びAsia Shipping Forumの熱心かつ影響力ある重要な国の一つであり、我が国のこれら国際場裏でのイニシアティブに対し先ず支持を得るべき立場の国と理解される。
同国海運の健全な発展なくば、アジア海運振興の実は稔らないと言っても過言ではないくらい比重の高い国とも理解される。
日本と各種レベルで海運面で緊密な関係にある国だけに、我が国としては、より多く同国海運関係者との接触機会を高め、率直な対話を通じて相手方ニーズを的確に把握し、同国の健全な海運政策の方向をも示唆しつつ、我が国として可能な協力を展開する必要があると思われる。
2) 海事国際協力
1] 外航海運
タイに対して、外航海運分野でのODA協力としては特段のものが考えられないが、今後、外航港湾分野など引き続き必要に応じて協力して行くことが考えられる。
2] 沿岸(内航・内陸水運)海運
我が国は、とりわけ、内航海運・内陸水運の整備開発にODA協力を積極化する意向にある。
タイでは、1980年代初期にMICCが受注実施したJICA沿岸海運整備開発(M/P)調査の見直しを要請されてきている。本案については、JICA開発調査によるレビューを行うことが望ましいが、OECF円借款の実現を含め、ODA諸手続きへの指導などその実現に協力してゆく必要がある。
(4) 台湾
1) 外航海運:海運の発展段階:台湾の海運は既に先進海運に比肩する発展をとげている。
台湾とは、アジア開発途上諸国の海運発展に対し、支援に協調・協力し、情報交換を密にする関係にある。具体的には、次のとおり。
1) WTO、APEC、ASIA SHIPPING FORUMの海事討議に関し、今後とも台湾の海運政策及び海上輸送実態などの統計・情報を交換して同国海運情報の透明度を高める。
2) アジア等開発途上国に対する海事分野で台湾が行うODA情報を今後交換して行く。