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今回の調査では、インドネシア側から「島嶼海運船隊の近代化」に対しOECF円借款(中央銀行等を介したTwo Step Loan)の実現に向けて強い願望が示された。

OECF円借款につなげるにしても前提となるマスタープラン(M/P)が必要であり、その前に少なくともOECF手続きの一つである「案件形成促進調査」(SAPROF:Special Assistance for Project Formation)手続を踏むか、またはJICA開発調査(M/P・F/S)が必要であり、これら手続きの実現に向けて協力することが肝要と思われる。

(2) マレーシア

〈外航海運の状況〉 海運の発展段階:調査対象4カ国中、国営海運企業MISCに対する自国貨自国船積みを奨励する商社インセンティブ政策もあり、1998年に完了した3社の糾合合併により330万トン規模の総合海運会社に発展。台湾に次いで発展した海運を保有。公正かつ自由な海運市場で健全な海運の発展が可能な体力を有していると思料され、海運自由化施策の採用が強く望まれる。

マレーシアは、実質国営企業であるMISCが1998年末、海運会社3社を併合し、330万重量トンに及ぶ船腹量を保有し、定期船、不定期船及びタンカーという海運3部門を擁して世界航路に展開しうる総合オペレーターとなっている。しかし、同国の年間自国籍船積取り比率はMISCなど3社で15%程度と低い。

海運関係のサービス収支は大幅な赤字(97年90億リンギの赤)で、この改善のため自国海運の育成及び港湾インフラの整備、開発を進める一方、Port Klang、Tanjung Pelepasをシンガポールに対抗するHub Portとする政策を展開している。

同国では、商社及び海運に対する間接または直接の海運保護政策によって国策として海運の強力な育成を目指しているが、少なくとも商社を介した自国貨自国船政策は暫定的政策として早急に撤回され、海運市場自由化に向けた健全な海運の発展を共に期する努力が肝要かと思われる。

〈個別提言〉

1) 外航海連政策

自国海運の保護育成政策は、海運に関係するサービス収支(赤字)の改善を目的の一つとしているが、その結果は、海運市場自由化アクセスという世界的な流れに反することになる。

国営海運企業であるMISCは、今やグローバルな海運サービスを展開することも可能になった訳であり、今後は自由化海運市場の中で公正・自由な競争によって健全な発展を遂げうるものと思料され、少なくとも商社を介した自国貨自国船主義に固執した保護政策を続ける環境にはないと思われる。(1999年2月18日マレーシア運輸省を訪問したMICC平出業務部長が商社インセンティブによる自国貨自国船積み政策を廃止した旨確認。)

我が国としては、同国の海運自由化市場への展開に向けて世界共通の海運の認識の醸成に向けた努力を傾注しつつ、同国の海運政策及び法制の透明性を高めて行く努力が必要と思料される。

 

 

 

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