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(3) 海運会社経営への影響

インドネシア、タイ、マレーシアのASEAN調査対象諸国の海運は、マレーシアのMISCが航路展開が大きい分アジア通貨危機の影響を受けている。インドネシアのSamudera Shippingはフィーダーサービス中心ではあるが、サービスの販路を拡大するなど増益を出し健闘している。

タイのRCL(Intra-Asia Services中心)及び台湾のEvergreen Shipping(世界規模のサービス網を有す。)でも、従来の海上輸送パターンの大きな変化に困惑しつつも、社内海運ネットワークをうまく活用し空コンテナ回しに工夫しつつ対応されている。

アジア地域における邦船社は、アジア地域の輸入海上貨物の大幅な減少下、空コンテナ回しに負担を感じつつも、欧米経済の堅調さに支えられたアジアNICS諸国の通貨切り下げに伴う輸出競争力の効果もあり急場を凌いでいる。但し、アジア域内サービス船社は域内の荷動きの大幅な減少により採算が悪化し、経営が圧迫されている。

(4) アジア通貨危機に伴う船舶の減配、スペースの相互融通

アジア域内では概してアジアの輸出が20%減、輸入は40%減と大幅に減少していることに対応して、日本からの輸出が減り、空コンテナをアジア新興経済諸国に回す費用が会社運営によって区々ではあるが、US$400-600(40F)かかる等、極めて苦しい運航を迫られており、このため邦船社を含めアジア航路では、船舶の減配、相乗りのスペースチャーター等による業務提携の形も出てきている。以下、在バンコク邦船社情報。

1) COSCO:1997年9月よりLaem Chabang Port寄港中止

2) NYK:1997年12月よりJapan/Thai v.v.サービス週3便を2便に減便

3) K Line:1998年1月同じく2便を1便に減便

4) その他:何社かは配船を止め、他社とのspace charterに切り替へ。

例、Hanjih,Wan Hai等。

(5) アジア通貨危機と海運保護政策:

マレーシアにおける外資規制に伴う、商社を通じた自国船積み誘導政策の強化が顕著な変化である。

 

7. 世界の船腹量と調査対象4カ国の状況 Lloys 「Statistical Table」 「World Fleet Statistics」

97年世界計 85,494隻(100.0) 522,197千トン(100.0%) 対前年比2.8%増

日本 9,310隻(10.9%) 18,516千トン(3.6%)

インドネシア 2,383隻(2.8%) 3,195千トン(6.1%)

マレーシア 838隻(1.0%) 4,842千トン(0.6%)

タイ 576隻(0.7%) 2,157千トン(0.4%)

台湾 692隻(0.8%) 5,931千トン(1.1%)

 

8. 調査対象主要諸国の海運の状況と提言

世界に既に飛躍している台湾の海運は別格として、インドネシア、マレーシア及びタイのASEAN調査対象3カ国の海運発展施策は、次の通りである。

 

 

 

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