JICAに関しては、「受入れ研修」(集団・個別)、専門家派遣(長期と短期)、沿岸海運整備開発など「開発調査」(M/P、F/S。今次調査においてタイガ沿岸海運案件で要望)、船員教育機関等に対する「プロジェクトタイプの技術協力」(専門家チームの派遣と機材供与、規模としてミニタイプとフルスケール)、運輸分野に馴染む「リハビリタイプの技術協力」(ミニタイプとフルスケール)、そして「無償供与」機能がある。
OECFに関しては、円借款が有名であり、これには政府の中央銀行を介したツーステップローンの形態(フィリピン島嶼海運の近代化に適用実施。インドシアが今次調査において特に要望)を紹介。また、OECFのサポート調査機能として、SAPROF(Special Assistance for Project Formation)、SAPI(Speceal Assistance for Project Implementation) and SAPS(Special Assistance Sustainability)をも紹介した。
【調査報告書の要約】
1. 政治
(1) インドネシア
1997年後半タイに始まったアジア通貨危機はいち早くインドネシアに飛び火し、事態は98年5月21日長期政権であったスハルト(前)大統領からハビビ現大統領への政権移譲へと発展。
同政権は民主化を急ぐ姿勢を見せているが、「スハルト強権体制の封印」が解かれ、各地で独立運動や宗教抗争が頻発している。(99年2月17日日経朝刊8面)
東部のマルク州の州部アンボンで99年1月19日から続く住民暴動(98年11月首都ジャカルタで起きたイスラム教徒のキリスト協会焼き討ち事件)以後、全国で宗教抗争が相次ぎ、当該事件では(99年1月22日日経朝刊8面)、続報も含め百人規模の死者が出たと報じられるている。
同国は人口2億人の多民族国家で、スマトラ島北西端の「アチェ」、「東ティモール」及びニューギニア島半西の「イリアンジャヤ」など独立運動問題も抱えている。
アジア通貨危機直後の通貨ルピアの大幅な切り下げもあり、労働者の賃金がドル建では1/10以下に低下した情報やコメなどの物資不足と相次ぐ企業の倒産の続出、中国資本の逃避もあり、2,000万人に及ぶと見られている失業者を抱えている。
99年末(11月)に予定される選挙による次期大統領選出まで政情不安は続くと見られている。
(2) マレーシア
アンワール(前)副首相逮捕・裁判事件は当面大きな社会勢力にまで発展しておらず、アジア通貨危機以後の財政による不況対策を講じ、失業は外国人労働者による調整もあって大きな社会不安にまで至っていない。
外資管理規制も一定の効果があったものと評価される面もあり、1999年1月11日にはアブドラ副首相兼内相(前外相)の就任を柱とする改造内閣が発足。政治は小康を保っていると見られている。
(3) タイ
97年11月に発足した民主党チュアン・リークパイ党首を首班とする8党連立政権の下でアジア通貨危機以後、国民生活を直撃した物価上昇、雇用不安などに対し、IMF指導下の経済復興の優等生として国の再建に取り組みつつ政情は安定している。