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《満足しうる諸国海運の発展の必要》

少なくとも、アジア海運は、アジア新興経済貿易に見合う発展を遂げなければ諸国の満足は得られない。調査の過程で、「海運は今や国が優先度を与える産業とは言えない。国家財政政策で優先すべき産業分野は多い。(例えば農業)」という貴重なご意見もあった。しかし、調査対象諸国にはそれぞれ有能なスタッフを擁する確たる海運行政組織、法制、財政予算があり、海運を他の産業の代替産業として提供し、「無」にする気運はあるはずもなかった。

かかる情勢から見て、「諸国の海運は今後とも発展こそ目指す必要があって、海運自由化アクセスによって破壊されてはならない」という諸国の確信があったと思料された。

 

《海運自由化手続における海運発展段階に応じた自主的手続き/暫定猶予経過措置の必要性》

WTO、APECにおける海運自由化アクセス手続きは、今後とも否応なくすすめられるとすれば僅か数カ国の今次調査でも諸国海運の発展段階(前述)に大きな差異があることが判明した。諸国海運の発展段階や置かれる海運事情が十分考慮されて、例えば手続上、諸国の自主的自由化手続き(マレーシアのコメント)を促して行くとか、先進諸国とは一線を画した暫定措置を設けることが必要であり、かかる対応がない限りおさまらないことが予想される。

 

《満足しうる諸国海運の発展の必要》

WTO、APECなりの国際フォーラムにおける海運自由化アクセス手続きが存続し、諸国が参画して行くことを担保することが肝要と思料される。その過程で「海運政策・法制の透明化手続」が諸国の健全な発展を期する重要な手段となろう。

 

《国際フォーラム「透明化手続」とRapport機能強化の必要性》

Asia Shipping Forumにも関連して、「透明化手続」の重要度に鑑みれば、タイのコメントに見られるとおり、Rapport機能を強化することが必要であること論を俟たない。

 

《内航海運と海運協力》

調査の過程で得た民間海運関係者のコメント(タイ)「諸国の内航海運は、外国が侵略してはならない分野として尊重されるべきで、諸国が外航海運にもまして優先して開発すべき分野であり、先進諸国が支援すべき分野である」は貴重である。

我が国としても、ODA分野において、インドネシア島嶼海運の整備開発及びタイの沿岸海運整備開発計画のレビューなど先方から積極的期待が表明されている案件に対し、その具体化に努める必要があろう。マレーシアは我が国ODA手続きを良くは了知しておらず、先方が健全な海運発展施策を進める前提で、かつ、先方のニーズがある場合には、沿岸海運案件の構築も可能と思料される。

 

《我が国のODA機能の紹介》

調査対象諸国に対しては、我が国のJICA及びOECF機能について、次のとおり、十分に紹介した。

 

 

 

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