チャーへの投資に比べると比較的少ない。しかしながら、鉄道は、ADBの特別復旧支援プロジェクト借款の下で行われた緊急修復(1994年─1996年)に大きな恩恵を受けている。1996年の早い時期に、カンボディア王立鉄道はシアヌークビル港とプノンペンの間でコンテナ貨物の輸送を開始した。プノンペン駅は、コンテナ取り扱いの便宜のために改修中である。こうして、南線はシアヌークビルと首都との間のハイウェイの代替ルートを提供するものと期待されている。
ポイペト(タイ国境)とプノンペン間の鉄道ルートは、アジア・ハイウェイと平行して走るアジア鉄道RW3ルート・プロジェクトの一部になることが計画されている。これはESCAPによって構想されたものである。RW3は、プノンペンで南線と交差し、ヴィエトナム国境まで延長される予定である。しかし、残念ながら、このプロジェクトは1997年─2000年の公共投資計画に入っていないことからあまり、重要とは見られていない。
港湾ネットワークの復旧
プノンペン港の主要貨物基地はポート1号とポート2号の両サイドに分かれている。ポート1号の復旧工事は、1996年後期に日本の無償援助により完成し、年間約56万6千トンの取り扱いが可能である。ポート2号(ポンツーン埠頭をもつ)は、世界銀行緊急復旧借款により復旧が行われ、主として国内輸送に使用されている。石油類の輸入は、1996年、41万5千トンを記録し、これはプノンペン港を通して輸入されるオイルの量がかなり大きいことを示している。
シアヌークビル港の既存突堤の緊急復旧工事や新しいコンテナ取り扱い設備と貯蔵施設の建設は最近、ADBの特別復旧支援プロジェクト借款(1994年─1996年)によって完成された。また、日本の無償資金援助で調査団が港湾区域全体のマスター・プランと第1段階の開発計画を完成させた。
オイルの輸入に関しては、シアヌークビル港を通して行う方が、偶発的な事故でのオイル流出による生態系への深刻な被害の危険性は小さい。カンボディア王国政府は、厳しい環境法を成立させ、将来、メコン川、トンレサップ川をオイルの輸入には使わせない予定である。
最近の運輸システム復旧調査の輸送予測によれば、プノンペンとシアヌークビル港(再建後の)を合わせた取り扱い能力は、少なくとも今後5年間は、この国の海外輸送を取り扱うのに十分である。2000年までは、大きな投資は計画されていないし、提案されてもいない。日本政府は、2015年までの将来の発展に関して、これらの港とその環境への影響について調査を行った。この調査は1997年に終了した。主要港の拡張は、港当局の商業化と優先順位化に関わる民間投資家によって資金が賄われる可能性がある。